「福山皇帝、仲皇后が帰ってきたばい」 皇帝パレードに沸く長崎

福山さん(中央奥)と仲さんが共演し、多くのファンらでにぎわった皇帝パレード特別版=長崎市元船町

 “福山皇帝”“仲皇后”が帰ってきたばい-。長崎県出身のビッグスター、福山雅治さんと仲里依紗さんが長崎市内で共演した17日の「皇帝パレード」特別版。2人の周りに、たくさんの笑顔が生まれていた。沿道で隣に居合わせ仲良くなったファン同士。千羽鶴を携えて東京からやって来た人。パレードを支えた裏方たち…。誰もが特別で、平和なひとときを味わった。
 気温10度を下回った午前8時、尾上町のコース脇。17歳の時から福山ファン歴30年になる山下由香利さん(県内在住)が待ち構えていた。「最前列で目に焼き付けたい」と早朝5時に到着。「全てが魅力。顔だけじゃなく、ファンを大事にする人間らしさが昔からあるんです」。3人の子育てが落ち着き、“推し活”を再び本格化させている。
 「さすが晴れ男」。佐世保市の石川加奈子さん(55)が、思わず福山さんを誇るとおりの快晴。午後1時半に出島町を出発した皇帝と皇后が前に進むたびに、「ましゃ!」「りーちゃん!」「おかえり!」と歓声が飛ぶ。福山さんが観客にカメラやマイクを向け、仲さんは「イエーイ、もっと盛り上がって!」。会場の熱気はピークに達した。
 母親が福山ファン、娘は仲ファン-。そんなペアも目立った。長崎市の里美代子さん(60)は新型コロナ禍で中止された稲佐山コンサートのリベンジで「生で見られてうれしい」。仲さんのブランドの服を着た娘の美有さん(23)は「ユーチューブで元気をもらっている。長崎県民でよかったです」と満面の笑み。
 パレードが通り過ぎても興奮は冷めやらない。佐賀市の田中可奈子さん(27)は「皇帝の服を着ても、やっぱり『福山雅治』。輝いていました」。仲さんから手を振られた長崎市の高校生、山田心晴さん(18)と笹山彩桜さん(18)は、顔を見合わせて「最高!」と声をそろえた。東京都の別府マサコさん(78)は観覧抽選に漏れたが来崎。日頃から作っている千羽鶴を、山王神社の被爆クスノキ近くに奉納したという。
 スターの凱旋(がいせん)に沸いた長崎。観覧当選者約2万6千人の他にも人だかりができたが、大きな渋滞やトラブルはなし。観客は警察官やスタッフの誘導で整然と帰路に就いた。「他者に対する想像力、思いやりがすごく大事な時代」と福山さん。言葉通りの「平和なパレード」がそこにあった。

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