蘇民祭、熱気は永遠に 奥州・黒石寺、惜しまれながら歴史に幕

激しくもみ合い蘇民袋を奪い合う男衆。黒石寺最後の蘇民祭を盛り上げた=17日午後10時17分、奥州市水沢黒石町

 千年以上続くとされる奇祭「黒石寺蘇民祭」は17日、岩手県奥州市水沢黒石町の同寺(藤波大吾住職)で開かれ、惜しまれながら歴史に幕を下ろした。4年ぶりに男衆が荒々しい蘇民袋争奪戦を繰り広げ、境内を埋めた来場者と共に無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。

 短縮開催の祭りは午後6時、裸参りでスタート。男衆は瑠璃壺(るりつぼ)川(山内川)で「蘇民将来」と叫びながら冷水で身を清め、「ジャッソー、ジョヤサ」のかけ声を境内に響かせた。別当登(べっとうのぼり)、鬼子登(おにごのぼり)に続き、蘇民袋争奪戦で祭りは最高潮に。約270人が激しくもみ合い、護符の入った麻袋を奪い合った。

 県内各地の蘇民祭のルーツとされる同寺の祭りは通常、旧暦の正月7日夜から翌朝まで行われ、勇壮な蘇民袋争奪戦で全国に知られた。中心を担う住民の高齢化や後継者不足を背景に2023年12月、同寺が今回で終了すると発表した。

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