還流額は5年で5億8000万円 自民「裏金」

 自民党は安倍派、二階派の国会議員82人と元議員3人、6派閥2グループの事務総長ら91人を対象に実施した政治資金収支報告書への不記載問題(派閥による還流裏金問題)の事情聴取結果を15日公表した。それによると32人が還流を認識し、しかも安倍派11人は政治資金収支報告書への不記載を把握していた。

 不記載を把握しながら記載しなかった理由について「派閥の指示を受けての対応だった」などとしている。還流は現職・元職の計85人すべてで確認され、その額は2018年~22年の5年間で約5億8000万円にのぼった。使い道では懇親会費や手土産などだった。還流は安倍派では10数年前から行われていたとみられる。

 また還流資金は「選挙に使われたのではないか」との疑念も上がっている。日本共産党の塩川鉄也議員は14日の衆議院予算委員会でこの点を追及。2019年の参院選挙では橋本聖子元五輪担当大臣が不記載額は1566万円と他の年にくらべ額が7倍以上になっていた。世耕弘成元官房副長官も18年~21年では102万~476万円の中で19年は604万円。太田房江元経済産業副大臣も18年~20年で16万円~40万円が19年は158万円と突出していた。

 岸田文雄総理(自民党総裁)は「関係者に説明責任を果たしてもらわなければならない」と自民党政治への信頼回復には当事者の国会議員による説明が必要との考えを強調した。(編集担当:森高龍二)

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