H3ロケット主要部品提供、ネット中継見守る 鶴岡の企業

打ち上げ成功を喜び、拍手を送る社員ら=鶴岡市・OKIサーキットテクノロジー

 「感無量だ」「誇らしい」―。国産新型ロケット「H3」の主要部品を提供した鶴岡市のOKIサーキットテクノロジー(森丘正彦社長)では17日、社員らが本社に集まりインターネット中継を視聴した。前回は2段目エンジンが点火せずに失敗したため「今度こそ…」。祈るように映像に見入り、無事に着火を確認すると、拍手が沸き起こった。合言葉は「鶴岡から宇宙へ」。成功を機に宇宙産業へのさらなる貢献を誓った。

 この日は社員とその家族ら約50人が集まり、種子島宇宙センター(鹿児島県)の中継映像を見詰めた。総務担当の竹石彰太さん(24)は「とても誇らしい。今後も一丸となって宇宙製品を作り、社会に貢献していきたい」と意気込んだ。

 同社が提供したH3用の「プリント配線板」は8年前から開発を始め、ロケットの通信や姿勢制御などに関わる電子機器を正常に動かす役割を果たしている。樹脂上の銅箔(はく)を除去して回路を形成した部品で、H3にはおおむね名刺大からA4判まで200枚超使われている。省スペース化を実現するため、一部は折り曲げることも可能という。

 2012年に設立した同社は前身の時代を含め50年以上の配線板の製造ノウハウを持つ。軽くて薄い上に熱や放射線、真空状態など過酷な環境でも安定して働く点が評価され、18年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の認定を取得した。

 宇宙は地上と違い、一度打ち上げたらメンテナンスや修理はできない。「一つの部品でも異常があってはいけない。品質確保に重点を置いてきた」と技術部長の豊倉康夫さん(51)。失敗した1号機の時は悔しい思いをしただけに「多くの関係者の苦労が報われ、感無量。日本の宇宙産業の新たな一歩になった」と破顔した。

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