同窓会で同級生と自分を比べて、みじめになりました。どうしたら生き方に自信をもてるようになりますか? 坂東眞理子さんのすっきり人生相談

仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。

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©️廣江雅美

プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。

相談 ①
パッとしない私の人生

先日高校の同窓会に行って、落ち込んでしまいました。同級生には有名企業の管理職や医師などもいます。専業主婦の人は、同級生とは思えないほど若く見える人ばかり。私は新卒で就職してからずっと同じ会社(ブラック企業です!)で働いてきました。が、平社員のままでパッとしない自分は、同級生と比べて、みじめな感じがしました。あと10年で定年ですが、夫も子どももいないし、私の人生、何だったんだろうと思います。この先、自分の生き方に自信をもてるようになるにはどうしたらいいですか?(50歳・正社員)

50代はキャリアに差が出やすい時期。自分の気分を下げるものとは今は距離をおいて。60代でもう一度、同窓会に行ってみては

人と比べて落ち込む前に自分磨きに心血を注いで

同窓会では気合を入れておしゃれして、自分のいいところを見せる人が多いものです。つまり同窓会は自分の光の面を見せ合う場。でも、有名企業の管理職や医師の方にもおそらく陰の部分があり、もっと成功している人と競ったり家庭の悩みなどがあったりするはずです。人それぞれに凸凹があってしかるべきなのに、同窓会に行くと「あの人は輝いている」「この人は素晴らしい」と人の光の面ばかりに目が行き、「それにひきかえ私は……」と落ち込む。これはよくある話ですが、もったいないことだと思います。自分で自分を不幸にしているのですから。人と比べるより自分が培ってきた力、自分の成長に目を向けましょう。

特に50代はキャリアに差が出やすい時期。65歳くらいになれば、みんな「散る桜残る桜も散る桜」で、あまり差がなくなったりするものです。同窓会で人と自分を比べる前に、これからの10年間は、会社を定年退職しても自分が社会に通用するスキルをもっているか、必要とされる場があるか、そちらの準備に時間とエネルギーを注ぎましょう。

そもそも同窓会は楽しい気持ちになるために行くもので、気分が下がってしまうのであれば行く必要がないでしょう。今は同窓会やSNSなど、人の自慢や光の面とは少し距離をおいて。あと10年、自分を磨いてから参加してみてはいかがでしょうか。

50代からは仕事の満足度を重視しよう

どうすれば自分の生き方に自信がもてるようになるのか。アドバイスする前に、「3人のレンガ職人」の話をご紹介しましょう。

旅人が3人のレンガ職人に「何をしているのですか?」と尋ねます。1人目の職人は「親方の命令でレンガを積んでいる。きつい仕事で俺はツイていない」。2人目の職人は「レンガを積んで壁を造っている。この仕事のおかげで家族を養っていける」。3人目の職人は「レンガを積んで、歴史に残るような大聖堂を造っている。この仕事に就けてとても光栄だ」と答えました。

1人目の職人は目的もなく仕事をし、2人目の職人は生活費を稼ぐことを目的としています。そして3人目の職人は世の中の役に立つという目的をもち、仕事に喜びと誇りをもっている。このように、同じ仕事でも目的意識が違えば満足度も大きく違います。

働く意味や目的は人それぞれ。お金を稼ぐため、世のため人のため、自分のスキルアップのため、夢を実現するためなど、さまざまでしょう。では、相談者はどのような目的意識で働いていますか? ブラック企業の平社員とのことですが、今の職場にも自分の存在価値があるはずです。長く働いてきたけれど目的を見いだすことができないのだとしたら、今が次のステージを考えるべきときかもしれません。

50代で転職するのであれば、3人目のレンガ職人のような満足度の高い働き方ができる職場を選んでほしいと思います。今の仕事を続けるとしても、ちょっと周囲を見渡してみて。自分では気づいていなくても、同僚やお客さまを助けていることがあるかもしれません。そこに焦点を合わせれば、同じ仕事をしていても見方が変わってくるはず。「自分は役に立っている」と誇りをもてるようになり、自分の生き方に自信をもつことにもつながります。

満足度が上がる働き方とは

①お金を稼ぐため
②仕事そのものにやりがいを感じるため。自分のスキルアップのため
③世のため人のため。会社の理念に共感しているため

→③が、いちばんモチベーションが上がり、満足度も高い

①のように働く目的がお金や生活にあると、仕事そのものからは満足感が得られにくく、不況や業績悪化で収入が減るとモチベーションが下がってしまう。②は仕事の内容には満足しているものの、目的はあくまで自分を成長させるため。③は誰かの役に立つとの利他的な視点で明確な目的意識があるため、モチベーションを上げて働ける。

※この記事は「ゆうゆう」2024年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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