シフィオンテクが宿敵ルバキナを下しカタール・オープン3連覇!「正しいと思うことに集中できた」と貫録の戴冠<SMASH>

女子テニスツアー「カタール・トタルエナジーズ・オープン2024」(2月11日~17日/カタール・ドーハ/ハードコート/WTA1000)は現地17日にシングルス決勝を実施。ディフェンディングチャンピオンで第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界ランク1位)が第3シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/同4位)を7-6(8)、6-2のストレートで下し、殊勲の大会3連覇を飾った。

ドーハで2022年、23年と連覇を果たした22歳のシフィオンテクは、今大会も初戦の2回戦でソラーナ・シルステア(ルーマニア/22位)、3回戦でエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア/19位)、準々決勝でビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ/元1位/現31位)をいずれもストレートで撃破。準決勝は対戦予定だったカロリーナ・プリスコワ(チェコ/元1位/現59位)が試合前に棄権し、3年連続の決勝へ駒を進めていた。

決勝で顔を合わせたのは前週の「ムバダラ・アブダビ・オープン」(WTA500)で早くも今季2勝目を挙げた24歳のルバキナ。過去1勝3敗、直近では3連敗(うち1敗は途中棄権)を喫しており、シフィオンテクにとっては“宿敵”とも言える相手だ。それでも通算5度目にして初めてツアー決勝での対決が実現した今回のリベンジマッチでは、シフィオンテクが女王の意地を見せて価値ある優勝をつかみ取った。

試合は序盤から強風が吹き荒れる中、シフィオンテクが第1、5ゲームでブレークを喫する苦しい展開。このセットの途中には、ルバキナがサービスを打ち終わった後に誤ってラケットで自分の足を傷つけてしまい、メディカルタイムアウトを要求。程なくして試合が再開されると流れが一変する。
第6ゲームからは落ち着きを取り戻したシフィオンテクが猛反撃し4ゲームを連取。しかし直後の第11ゲームで痛恨のサービスダウンを喫し再びピンチを迎える。それでもルバキナのサービング・フォー・ザ・セットとなった第12ゲームでは、難しいスマッシュを決めきるなど好プレーを見せたシフィオンテクが土壇場でブレークバックに成功。一進一退の攻防が繰り広げられたタイブレークでは8-8からシフィオンテクが立て続けにバックハンドのウイナーを決め、大接戦の末に第1セットを奪取した。

第2セットは第1ゲームで2度のブレークポイントを切り抜けたシフィオンテク。以降は得意のストローク戦で主導権を掌握し、計2度のブレークを奪って勝利を収めた。

ルバキナの2週連続優勝を阻止するとともにリベンジマッチを制したシフィオンテクは、試合後のインタビューで次のように喜びを語った。「自分の仕事を全うできてうれしい。今週はあまり多くのことを考えず、正しいと思うことに集中できた。それが鍵だったと思う。2連覇したディフェンディングチャンピオンとして大会に臨むのは簡単ではなかった。(若くして)そういう経験を得られてうれしいし、今後もそれを生かしていきたい」

ちなみに女子ツアーでの大会3連覇は13~15年のマイアミ・オープン(WTA1000)を制したセレナ・ウィリアムズ(アメリカ/元1位)以来約9年ぶりの快挙だ。またしても名誉ある記録を打ち立てたシフィオンテク。今後のさらなる活躍を期待したい。

文●中村光佑

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