とちぎ子どもの権利条約ネットワークは17日、子どもが安心安全に過ごせる子どもの居場所づくりに関する公開学習会を足利市朝倉町のあしかがフラワーパークプラザで開いた。県内の子ども支援に関わる関係者計約40人が会場とオンラインで参加し、居場所が果たす役割などを考えた。
国は昨年末、初の「こどもの居場所づくりに関する指針」を策定。貧困や虐待などで十分な養育を受けられないなど厳しい環境で育つ子どもは「居場所を持ちにくく、失いやすい」と指摘し、課題やニーズにきめ細かく対応した居場所をつくることで子どもの権利を守るとともに、誰一人取り残さない支援の必要性を示している。
講習会はこうした流れを踏まえ、子どもが権利を実感できる居場所づくりを目指して開かれた。講師はこども家庭庁こどもの居場所部会委員の工学院大安部芳絵(あべよしえ)教授が務めた。
安部教授は、子どもの権利を守る場として放課後児童クラブ(学童保育)や児童館などの居場所が有用であることなどを解説した。
居場所では支援者などの大人が主体的に遊ぶ子どもの姿を日常的に見ている。意見を聞いても考えをうまく言葉にできない子どもは少なくないが、「子どもとの関係性がある大人が、子どもの遊ぶ様子や表情を通して子どもの気持ちや願いを読み取ることができる」などと説明した。
またSOSを出せずに困難を抱え込んだ子どもは乱暴になったり落ち着きがなかったりする場合もあるため、居場所で大人が察知することで「相談という形を取らずに支援と予防が自然にできる」と強調した。
参加した市内の学童保育職員田部井成美(たべいなるみ)さん(62)は「言葉で言えなくても様子で分かることがある。そのためにも子どもたちに信頼され、『どんな姿でも見せられる』と思われるようになりたい」と話した。