福竜丸航海を再現、SNSで発信 船員の言葉、核実験背景も紹介

東京都立第五福竜丸展示館の学芸員蓮沼佑助さん(左)から助言を受ける、東京学芸大4年の柳川悠月さん=9日、東京都江東区

 静岡県のマグロ漁船「第五福竜丸」の被ばく70年に合わせ、東京都立第五福竜丸展示館や大学生が交流サイト(SNS)で、資料に基づき実際の航海の状況を再現する投稿を続けている。乗組員の生々しい言葉に加え、米国が1954年3月1日、太平洋のマーシャル諸島・ビキニ環礁で水爆実験をした冷戦下の時代背景も文章やイラストで紹介している。

 学芸員蓮沼佑助さん(33)は「紙芝居のように親しみ、自分ごととして捉えてほしい」と話す。

 インスタグラムとフェイスブックで「第五福竜丸航海記」と題して投稿。米国が54年1月8日に「今春、太平洋実験場であらゆる種類の核兵器実験を行う」と発表したのにちなみ、今年のその日からスタートした。

 福竜丸が静岡・焼津港を出た1月22日は「何度聞いても出航の汽笛はわびしい」。トラブルで多くのはえ縄を失った2月9日は「縄が切れているぞ!」と乗組員の言葉を交え、船上の様子を臨場感たっぷりに伝えた。

 55年1月4日の日米の政治決着までを主に扱うため、随時更新するのは年明けまでの予定。

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