海南観光が「行きはよいよい帰りは…」状態、抗議し拘束される客も―中国メディア

海南島には春節(旧正月)連休に伴い多くの観光客が詰めかけた。しかし多くの人が復路の航空券などの料金高騰・入手困難に直面することになった。写真は海南島の重要な玄関口の海口美蘭国際空港。

中国では春節(旧正月、2024年は2月10日)の到来に伴い、同月10日から17日が8連休になった。冬のリゾート地として人気の海南島にも多くの観光客が詰めかけたが、中国メディアの封面新聞などによる複数の報道によると、連休終盤には復路の航空券やフェリー乗船券が高騰し、入手も困難になった。激しく抗議して警察に身柄を拘束される観光客も出たという。

中国メディアの封面新聞によると、海南島から島外に出る航空便の場合、14日にはすでに「エコノミークラスは航空券1枚も入手困難」な状態になり、ビジネスクラスでは価格が1万元(約21万円)を突破するケースも出た。また、連休最終盤の16日と17日には、島内リゾート地の三亜から北京に向かう航空券はほとんどが1万元以上になった。「この料金なら、欧州にだって行ける」との声も出たという。

中国では友人や家族との「ドライブ旅行」を楽しむ人も増えた。香港メディアの鳳凰網によると、海南島から大陸部に向かうフェリーのチケット入手が困難になった。

その結果、現地にいるとみられる多くのユーザーがSNSで状況を訴えた。「やって来たが帰れない」「爽快にドライブしたが、大後悔。乗船券は手に入らぬ。悲しく海を眺めるばかり」などだ。情報/ニュースサイトの易網は17日の三亜流鳳凰空港から西安咸陽空港までの航空券についてエコノミークラスで「料金は1万7490元(約37万円)、残っているのは2枚だけ」といった例を紹介した。

ネット投稿では一方で、「島外脱出」が困難になったことについての批判も多い。帰りの交通手段を確保しなかったことについて、「大型連休は人であふれていると分かっていながら、計画を立てないのは自分のせいだ」といった意見だ。連休期に人気の観光地に行く場合には、復路の交通手段も確保してから出発すべきとの指摘もある。

複数の中国メディアが16日に報じたところによると、海南省当局は海南島から出航するフェリーの乗船券の発売を増やすなどでUターン客のピークに対応した。報道によると、2月14日には延べ延べ10万8900人および車両2万1900台が島から出たという。

電気自動車(EV)など、いわゆる新エネルギー車で海南島を訪れた人は、島からの脱出がさらに困難になった。EVなどの船舶輸送では従来型の車両より厳しい安全基準が設けられており、フェリー1隻につき新エネルギー車は十数台しか受け入れていないためだ。

報道によると、新エネルギー車で海南島を訪れて、14日時点ですでに6日間も「乗船待ち」という家族がいる。海南島の主要港から島外に出る新エネルギー車の乗船券は1月末まで完売の状況で、そのため、車を島内に置いたまま島を出た人もいるという。

14日には、海南省海口市のフェリーの船着き場で、乗船券が買えないことに抗議した観光客2人が警察官に連行された。SNSには、憤慨した家族が道路を塞いで抗議する映像が投稿され、注目を集めた。(翻訳・編集/如月隼人)

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