【阪急杯】ウインマーベルが初の記録に挑む 穴は同舞台で惜敗続くグレイイングリーン 

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1、2番人気は前走マイルなら信頼度アップ

前哨戦のありかたは確実に変わってきた。たとえばフェブラリーSでは根岸Sと東海Sどちらの勝ち馬も登録がなかった。東海Sを勝ったウィリアムバローズは適性、根岸Sのエンペラーワケアは万全の状態で出走できないというレース間隔に原因があった。それぞれが勝利に浮かれず、冷静なジャッジを下した結果だ。

阪急杯も適性を求めて1400m戦に出走する馬を中心に考えるべきだろう。実際、今年はそういった意図を感じる馬が多い。データは過去10年分を使用する。

人気通り、1番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%、2番人気【3-1-2-4】勝率30.0%、複勝率60.0%が目立つ。前走が1400mだった1、2番人気は【3-2-0-7】、1600mだと【2-0-3-2】。スプリント戦がターゲットというより、マイルから距離を縮めて活路を見出そうとする人気馬が強い。1400mだからこそ狙いたい馬がターゲットになる。

一方、芝内回り1400m戦らしく、6番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、7番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%など伏兵陣の激走もある。1、2番人気に本命を打ちつつ、人気薄まで幅広く印を打ちたいところだ。

年齢では出走数が少ない4歳が【3-2-2-20】勝率11.1%、複勝率25.9%と確率面では一歩リードも、5歳【2-3-4-32】勝率4.9%、複勝率22.0%、6歳【3-2-2-41】勝率6.3%、複勝率14.6%と馬券圏内にきた数はほぼ変わらない。ベテランまでまんべんなく評価しよう。

3連勝中のアサカラキング

4歳アサカラキングは3連勝中で、データも味方につけ、勢いを感じる。同馬も1600、1400mと距離を縮めて連勝しており、ターゲットは1400m。高松宮記念は今回の結果と内容、状態次第だろう。

アサカラキングらの前走3勝クラスは【2-0-0-9】勝率、複勝率18.2%。前走1400m【2-0-0-6】勝率、複勝率25.0%、それ以外【0-0-0-3】。1400mの山城Sを逃げ切ったアサカラキングはこれをクリアする。なお、前走が京都芝1400mだと【0-0-0-3】、阪神替わりをこなせるかが焦点になる。2走前に2勝クラスを阪神芝1400mで突破しており、このデータにとらわれることもない気はする。

前走重賞のうち、GⅠ以外では阪神C【2-4-1-21】勝率7.1%、複勝率25.0%に注目しよう。今年は勝ったウインマーベル、4着グレイイングリーンが出走する。

阪神Cの着順別成績をみると、1着【0-0-0-3】が気になる。1、3、2番人気で8、6、5着と同舞台の阪神Cとの連勝を達成していない。阪神C創設以降までデータを広げても、【0-1-1-4】とやはり連勝はない。ウインマーベルは初の連勝馬となるか。これも次のGⅠを見据えているのか、それとも1400mのここを獲りに行くのか。陣営の意図を読み切りたい。

データをみると3、4着【1-2-0-3】がよく、6着以下【1-1-1-10】までチャンスはある。前走阪神C4着グレイイングリーンは昨年阪急杯も4着。あと一歩で馬券圏内といった状況が続く。その2戦は10、15番人気の超人気薄で、そろそろ穴を開けてもおかしくない。ただ、さすがにそれなりに人気に推されそうな予感もある。

前走京都金杯【2-1-1-9】勝率15.4%、複勝率30.8%は9着ルプリュフォールがいる。6着以下は【1-1-0-7】。得意距離で一変するか。

スプリント路線のシルクロードSは【1-1-0-19】勝率4.8%、複勝率9.5%とそう高くなく、やはり1400m特化タイプが相手だと分が悪い。サンライズロナウドの4着は【0-1-0-1】、15着ホープフルサインの10着以下は【1-0-0-9】。伏兵候補に加えておきたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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