進化の余地がまだあったの!? 2色構造の暗記シート「速暗」で暗記の速度も精度も上がりそう

By きだてたく

中高生の勉強のうち、暗記が占める割合はそれなりに大きい。応用問題を解くにしても、まずそのスタートラインに立つ前に “覚えておかないと始まらない” 基礎的なことは、丸暗記しておく必要があるからだ。例えば英単語や数学の公式、歴史上の出来事なども、そのまま暗記しておくしかない。

そういった暗記科目の勉強方法として定番なのが「暗記ペン+暗記シート」を使った、いわゆる目隠し暗記である。覚えておくべき部分を赤ペンでマーキングして、上から緑の半透明シートをかけるとマーキング部分が見えなくなるという、アレだ。数十年前からある勉強法だが、実は最近、それがちょっと進化したアップデート版が発売されたのはご存知だろうか? 今回はそんな進化した「暗記ペン+暗記シート」学習ツールを紹介しよう。

2色ペン+2色シートで効率的な暗記学習

SONiCから発売された「速暗」シリーズは、「暗記ペン+暗記シート」学習の効率を高めて暗記スピードをアップさせるためのツールだ。ラインナップは2種類で、反復暗記に効く「赤/緑シート+ピンク/ブルーの2色マーカー」セットと、ヒントが出せる「オレンジ/ピンクシート+オレンジ/ピンク2色ペン」セットとなっている。どちらも2色ペンで書いて2色シートで隠す、という構成になっているが、その使い方と勉強の方向性がまったく別物なのが面白い。

SONiC
速暗!
2色で引いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット
2色で書いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット 600円(税別)

赤/緑シートセットを使う場合は、参考書やノートの文中にある覚えたいワードを、約4mm径のピンクマーカーとブルーマーカーで交互にマーキングする(交互に、というのがミソ)。そこを赤のシートで覆うとブルーのマーキングが消え、緑のシートだとピンクのマーキングが消える。

↑セットには、縦分割/横分割の2色シートがそれぞれ2枚ずつと、専用マーカーが含まれる(画像は、2色で引いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット)
↑暗記したいワードにピンク・青・ピンク……と交互にマーキングを施す。年号はピンク、人物名は青、といった塗り分けも良さそう

従来の暗記学習は、1ページ内のマーキング箇所(目隠し)が多すぎると文章が意味をなさなくなるし、難易度が高くなりすぎて学習効率が落ちる、というデメリットがあった。しかし、2色で交互にマーキングしておけば、1色のシートで隠れるワード数が従来の半分になるので、難易度は適度に調整される。さらに、緑シートで覚え終わったら次は赤シート、というようにすぐ問題を切り替えることもできるので、何度も反復しての暗記効率を上げることもできるという仕組みである。これは大量の暗記項目がある英語や古文、または理系科目に効きそうだ。

↑赤シート、緑シートでそれぞれ目隠しされるワードが違うので、暗記する内容が多くても「目隠しだらけ」にならず覚えやすい
↑赤/緑シートセットに付属のWチゼルチップ・マーカー。変わった軸形状だが、握った際に安定して直線を引きやすい

正味の話をすると、お馴染みの「マーカー+カラーシート暗記学習セット」から機能的になにかが変わっているわけではない。製品としてユニークなのは、“2色のマーカーによる2通りの目隠しを使った、効率的な暗記学習法の提案” という部分なのである。

新しい暗記メソッドによる効率的学習

もう一方のオレンジ/ピンクシートセットは、文字を書く用に約0.6mm径のオレンジ/ピンクの中字ペンが同梱されている。こちらは、例えば英文の長文問題の中で、記憶が危うい・または難しい単語の訳をピンクで書き、さらに全体的な訳文をオレンジで書くのに使ってみよう。

↑Wマーカーはピンクをヒント、オレンジを解答の記入に使う。軸にそれぞれ「answer」「HINT」と書いてあるので、間違えないように
↑長文問題に使う場合、単語訳(ヒント)と訳文(解答)で書き分ける

これをピンクのシートで覆うと、書き込みが全て消えるので、まずはノーヒントで文章訳にトライする。分からなかった場合は、シートをスライドさせてオレンジに切り替える。すると、ピンクで書いた単語訳だけが浮かび上がるので、それをヒントにして再考ができるという仕組みだ。 “考えても思い出せない部分” にずっと滞在しなくて済むのは、地味にメリットが大きいのではないだろうか。分からないところはどうしたって分からないのだから、素早く諦めて次に行くか、ヒントをもらって再考するほうが効率的なのである。

↑ピンクのシートで覆うとヒント・解答ともに隠れるので、まずは独力でチャレンジ
↑画像では分かりづらくて申し訳ないが、オレンジのシートに切り替えると、ピンクで書いたヒントがうっすらと浮かび上がる仕組みだ

というのも、暗記内容を単体で覚えるよりも、ヒントや別のキーワードと紐づけて覚えたほうが記憶が定着しやすく、また思い出すときもスルッとスムーズに出やすい。加えて正答できなかったという失敗体験は、勉強を継続するうえでそこそこ大きな足かせともなり得る。独力で考えて不正解になるより、ヒントを見ながらでも正解を出せたほうがテンションは上がるし、集中力も長続きしやすいはずだ。暗記=厳しいものと思われがちだが、こういう甘やかされる暗記学習だって、あっていいはずだろう。

また、製品の工夫としては、シートの色分割が縦と横それぞれが付属(各2枚入り)しているところが、なかなか面白い。図面や単語暗記の場合は縦分割の方が使いやすいし、文章問題だと横分割でないとはみ出してしまうこともある。どちらの使い方にも両対応しているのは、メーカーとしての丁寧な配慮だなと思った。

↑縦分割シートを使った単語の大量暗記。英単語のスペルと単語訳をそれぞれブルーとピンクに分けて塗っておく
↑シート色を切り替えると、暗記する内容(この場合はスペル/単語訳)が切り替えられる

暗記というのは結局のところ、反復して脳にすり込むのが重要だ。だからこそ、効率的に反復できるように、一度の情報量を適度に制限すること(赤/緑シート)や、ヒントによって正しい記憶に導くことで失敗体験をさせないこと(オレンジ/ピンクシート)といった工夫がありがたいのだ。

なにより、単に漫然と暗記シートで目隠しするよりは、きちんと記憶定着のための理屈がある勉強方法をやったほうが正しいはず。暗記項目が多ければ赤/緑シート、長文問題なら オレンジ/ピンクシートといった使い分けは必要になるが、うまく導入できれば暗記効率はしっかりと上がりそうだ。

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