大量漂着した軽石で何か役立つものを…そうだ、ピザ窯だ 中3がシラスと混ぜて自作し実用新案登録 「商品化目指す」

自作した窯でピザを焼き上げた石原田海秀さん=鹿児島市城山1丁目

 鹿児島市の伊敷中学校3年石原田海秀さん=城山1丁目=が、県内で調達した軽石とシラスをセメントに混ぜ込みピザ窯を作った。組み立て式で1人でも持ち運び可能。昨年12月には特許庁の実用新案に登録しており、「今後は窯の機能を今よりも充実させ、商品化を目指したい」と意欲を見せている。

 窯は高さ60センチ、幅35センチで、直径20センチまでのピザを焼ける。空気を多く含む軽石を使うことで、セメントのみやレンガ製に比べて軽く、保温性にも優れる。内部は最高で300度程度になり、生地は3分ほどで焼き上がるという。

 2021年、奄美群島に軽石が漂着したニュースを見て、「軽石を使って生活に役立つものが作れないか」と思い立った。同年、父・秀一さん(50)らと徳之島へ渡り、徳之島町母間の海岸に打ち上げられていた軽石約10キロを回収。粉砕処理するため、秀一さんの知り合いの愛知県豊田市のコンクリート加工会社に送った。シラスも垂水市の業者から購入した。

 窯を設計後、自宅の3Dプリンターで模型を製作。それをもとに豊田市の会社に型を特注した。自ら同社を訪れ、砕いた軽石とシラスの粉末をセメントに同量ずつ混ぜた材料を型に流し込み乾燥させ、4種類、15個の部品を完成させた。

 組み立て式の窯は設置も簡単。これまでは自宅の庭などでピザを4回試作した。「いつでもどこでも焼けるのが特徴。窯内の温度管理のために温度計を設置するなど、これから仕組みをもっと工夫していきたい」と意気込んだ。

(別カット)実用新案登録証を手に笑顔を見せる石原田海秀さん=鹿児島市城山1丁目

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