政府、訪日計画の作家にビザ拒否 グアンタナモ獄中記、反響

モーリタニアの首都ヌアクショット郊外の砂丘で、夕日を背にたたずむモハメドゥ・スラヒさん=2017年8月(中野智明氏撮影、共同)

 キューバのグアンタナモ米海軍基地の収容施設に14年余り「テロ容疑者」として不当拘束後、容疑が晴れて釈放された北西アフリカ・モーリタニア出身の作家(53)に、日本政府が1月、2020年に続いて入国査証(ビザ)の発給を拒否していたことが18日、分かった。モハメドゥ・スラヒさん=オランダ在住=で、獄中記が世界的ベストセラーになり映画化。3月に講演で訪日する計画だった。政府の対応が疑問視されそうだ。

 外務省は「ビザ発給事由に当たらない」とだけ説明。講演を企画した「刑事司法未来」代表理事の石塚伸一龍谷大名誉教授は「英仏も訪問できるのになぜ政府は発給しないのか」と訴えている。

 スラヒさんは1990年代初め、アフガニスタンで、当時米国の秘密工作の支援を受けていたとされる国際テロ組織アルカイダから戦闘訓練を受けたが、その後関係を断った。だが、米当局にアルカイダとの関係を疑われ、米中枢同時テロ2カ月後の2001年11月、モーリタニアで拘束。中東などの米軍施設を経て02年8月にグアンタナモに移送された。

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