「出産したら花粉症が治る」って本当? 実際のトコロと、考えられる理由【アレルギー専門医が解説】

「出産したら花粉症が治った」という話があるようです。実際に、出産と花粉症の症状の出方には関係があるのか、わかりやすく解説します。

Q. 「子どもを産んだら花粉症が治る」って本当ですか?

Q. 「長年、花粉症に悩んでいた友人が、『子どもを産んでから花粉症が治った』と言っています。実際に、出産がきっかけになって花粉症が治ることはあるのでしょうか? 私も症状がひどいので『いつか出産したら、花粉症から解放されるかもしれない』と思うと、期待してしまいます」

A. 過度の期待・不安は不要です。産後に良くなる人も悪くなる人もいます

花粉症の症状は個人差が非常に大きく、出産の時期や出産以外の要素も関係するため、出産の影響について、一概に言うことはできません。 「出産すればよくなることが多い」というほど単純ではありませんし、「産後に発症することが多い」ということでもありません。しかし、どちらのケースも実際に起こっています。そして、出産前後で何も変化がない人もいます。 花粉症の症状は、その年の花粉の飛散量や個人の体調によっても、出方が全く異なるため、ある年に症状がほとんど出なかったからといって、治ったと考えるべきではないでしょう。 それでも、「出産したら花粉症が治った」「産後、花粉症の症状が軽くなった」という場合、可能性としては、ホルモンバランスや体質の変化によって、免疫の状態が変わった可能性が考えられます。 「免疫反応が弱くなる」ことは一概によいこととも言えないのですが、過度なアレルギー反応が弱まることで、結果として花粉症の症状が軽くなる可能性もあります。 いずれにしても、出産によって花粉症の症状が変わることを、過度に期待したり、不安に思ったりする必要はないでしょう。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。 (文:清益 功浩(医師))

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