『さよならマエストロ』津田寛治が渾身の指揮を披露 観客全員が釘付けになった撮影の裏側

TBS系日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』第6話の放送が終えた。放送前に掲載した「西島秀俊は現場でも“マエストロ” 『さよならマエストロ』会場一体の演奏シーンに密着」に続き、放送後だから語れるポイントを紹介する。

「ぜひ、晴見フィルなりの終わり方を見届けてほしいです」

東仲恵吾企画プロデューサーの、「晴見フィルなりの……」という言葉が腑に落ちたのが、40年間続いた晴見フィルのラストの指揮をするのが、学生のころから同楽団にいた近藤(津田寛治)になったというシーンだ。最後の曲に向かう中、俊平(西島秀俊)がタクトを近藤に渡すシーンの静寂は、大ホールにいるほとんどの人が「近藤が振るべき」と同意しているかのような空気感だった。

また俊平からタクトを受け取ったときの、何とも言えない近藤の表情は非常に印象的だった。普段は何かにつけ、がやがやうるさい印象の近藤が、感極まりながらも、いつものイメージを保とうとする姿は、余計に感動を誘う。

指揮することの喜びを身体全体で表現するかのように、ダイナミックにタクトを振る渾身の演技を見せる津田。それを見守る会場の荘厳な雰囲気。さらに演奏が終わったあとの「ブラボー」の声援は圧倒的で、まさに晴見フィル“なり”の幕引きだった。

(文=磯部正和)

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