「東奥の奇祭」歴史に幕 最後の争奪戦激しく 黒石寺蘇民祭 岩手・奥州

激しい肉弾戦が繰り広げられた黒石寺蘇民祭最後の蘇民袋争奪戦=17日夜、奥州市水沢黒石町(代表撮影)

 最後となる黒石寺蘇民祭が17日、奥州市水沢黒石町の黒石寺(藤波大吾住職)で行われた。祭りを支える檀家(だんか)の高齢化や後継者不足などを理由に同寺が決断し、1000年以上の歴史に幕を下ろした。4年ぶりの蘇民袋争奪戦では、境内を埋め尽くした下帯姿の男たちが激しい肉弾戦を展開し、五穀豊穣(ほうじょう)や無病災害を祈った。詰め掛けた見物客は熱気に包まれた「東奥の奇祭」を堪能した。

 小間木を手にした人は災厄を免れるとされていることから、全国から集まった約270人の男たちが蘇民袋を巡って激しい肉弾戦を展開。身動きが取れないほどの人の波に祭りの熱気は最高潮に達した。

 1000年以上の歴史を誇る同寺蘇民祭は、本県に伝えられる蘇民祭の中核的な存在だが、23年12月に同寺が祭りの中心を担う檀家の高齢化などを理由に今年をもって終了すると宣言した。勇壮な蘇民袋争奪戦は全国的に知名度が高く、今回で終止符が打たれることに多くのメディアが注目。国内外46社、約160人の報道関係者が境内に押し寄せた。

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