【ベトナム】ポミナ、南部の高炉再稼働で追加投資提案[鉄鋼]

経営再建中のベトナムの中堅鉄鋼メーカー、ポミナ・スチール(POM)が南部バリアブンタウ省にある小型高炉の再稼働に向けて約9,040億ドン(約3,685万米ドル、55億3,600万円)の追加投資を計画している。再稼働の資金は当初、日本のくず鉄大手ナンセイ・スチールへの第三者割当増資を通じて調達する予定だったが、ナンセイへの新株発行計画が頓挫したことから、別の資金調達案を検討しているもようだ。ダウトゥ電子版が17日付で報じた。

ポミナは3月1日に臨時株主総会を開催し、高炉への投資額を4兆9,752億ドンから5兆8,797億ドンに引き上げる議案を諮る。引き上げの詳細を明らかにしていないが、総会の議案には同社のリストラ計画についても含まれており、経営再建策と合わせて審議されるとみられる。株主の承認後、2024年第2四半期(4~6月)早々に再稼働を見込む。

ポミナの高炉は、傘下のポミナ3が第1工業団地で20年に稼働したが、市況が悪化した22年第3四半期(7~9月)に生産を停止した。ポミナは23年7月にナンセイへの第三者割当増資により7,000億ドン余りを調達する計画を発表したが、24年1月に計画の中止を決めた。

ポミナの23年決算は、監査前の売上高が前年比74.6%減の3兆2,812億ドン、税引き後損益(純損益)は9,583億ドンの赤字だった。不動産市場の冷え込みで鉄鋼需要が低迷したことで大幅減収となった一方で、利払い負担が膨らみ2年連続の赤字決算となった。

23年末時点の流動負債は7兆9,636億ドンと、流動資産の3兆993億ドンの2倍に上っており、財務基盤の強化が喫緊の課題となっている。

ポミナは22年までの2年間の監査済み財務諸表を、上場するホーチミン証券取引所(HOSE)に期限までに提出しておらず、23年分も期限に間に合わなかった場合は上場廃止の検討対象になるとHOSEから警告を受けている。

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