被災カップルに「結婚式を」 高岡の湊さん夫婦へ式場を無償提供 上市で髙野さん企画

式で使う花束を見せる髙野さん(左)と選択する湊さん夫婦=上市町天神町

 能登半島地震で被災した会社員湊重太郎さん(46)=高岡市=と妻聖望(きよみ)さん(43)=会社員、南砺市=は4月に上市町で結婚式を挙げる。結婚式場を起業する髙野由紀子さん(60)が被災地に明るい話題を届けたいと、式場を無償提供する。2人は善意の申し出に「機会を与えてくれて本当に感謝している」と喜んでいる。

 湊さんは中学生の息子と氷見市の祖母の家で暮らしていた。発災時は、聖望さんのいる南砺市にいて無事だった。ただ、氷見の自宅は損壊して住めなくなり、高岡市に引っ越した。

 湊さんは昨年5月に聖望さんと入籍。挙式を希望していたものの、経済的に困難であるとあきらめかけていたが、知人の紹介で、安価な結婚式場の開業を目指す髙野さんと知り合った。

 2人に結婚式をプレゼントする髙野さんは、新型コロナの影響で次女の結婚式が延期を余儀なくされた経験から、家族だけでも結婚式を挙げたいと思っている人たちのための式場を作りたいと思うようになった。家族の思い出づくりのための式場を目指し、昨年から上市町天神町の自宅を増改築するなどして開業準備を進めてきた。

 被災者に明るい話題を届けようと、式場最初の一組となる湊さん夫婦に式をプレゼントすることに決めた。人前式で、花嫁は白無垢、色打掛、ドレスにお色直しする。

 湊さんは「思わぬ機会を得た」と喜び、聖望さんは「写真だけになると思っていたが、お色直しまでさせてもらえるなんて幸せ」と笑顔を見せた。

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