大相撲・宇良関 子どもたちとの対戦で見せた真の強者の所作 人気の「番付」さらに上昇

宇治支援学校を訪れた宇良関

 本物の「おすもうさん」を間近で見て、子どもたちは驚いただろう。大相撲の人気力士・宇良関が先日、京都府宇治市にある宇治支援学校を訪れた。

 「ようこそ」と手作りの横断幕がかけられた体育館で、対戦した先生を軽々と逆さづりにし、小学部の児童を沸かせた。四股踏みでは「我慢して足を上げて」と中学部の生徒を励ました。

 子どもから見れば巨体でも、身長は173センチの私と同じくらい。新小結として幕内上位の猛者たちとぶつかった初場所を終えて3日後だった。疲れもあっただろうに笑みを絶やさず、気さくにハイタッチや記念撮影に応じていた。

 体育館を後にすると、まわし姿のまま校舎の一室に移動した。高等部くらし健康コースの生徒6人との大一番が控えていたからだ。

 大半が肢体不自由で、車いすやストレッチャーを使っている。宇良関は腰をかがめ、一人ずつ順番に手を握ったり、体をそっと押したりして「対戦」した。生徒を抱えて床に転がりもした。

 相手に合わせて自然体で振る舞う。そこまでやるか、というくらい子どもたちと向き合った。なかなかまねはできない。行司を務めた遠藤慎二副校長は「よかったねと、交流が終わった後も学校中が温まった感じでした」と振り返った。

 真の強き者はやさしさを兼ね備えてこそ。2時間にわたった「宇治場所」で、人気の「番付」をさらに上げた。

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