「痩せ見え」は女性にとって永遠のテーマといっても過言ではありません。体型カバーの着こなし術は数あれど、「年齢を重ねるとおしゃれのセオリーが変わってくる」と、グッドエイジスタイリストの花本幸枝氏はいいます。花本氏の著書『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』より、60代からの“痩せ見え”を素敵に叶える、着こなしのコツを紹介します。
60代からの“痩せ見え”を叶える「4つのポイント」とは
1.“3つの首”で華奢を演出
首、手首、足首を出すと、目の錯覚でほっそりと見えます! 中でもいちばん効果的なのが、首元です。深いVゾーンで首を長く。ここをスッキリ見せれば、確実に痩せて見えます。
年齢と共に、顔の輪郭がたるんで顎のラインがぼやけてきます。そうすると首が短く見えて詰まった感じになり、太って見えます。首を長くするのは無理ですが、胸元に深いVゾーンをつくると、目の錯覚で首を長く見せることができます。
海外ドラマで中年の女性が、胸元が深く開いたシャツを着ているのを見ませんか? 下着が見えるんじゃないかしらと思うくらいの深いV開きでも、不思議といやらしさを感じません。
若い頃は、肌を見せるとセクシー過ぎましたが、肌がくすんでくると、潔く見せても大丈夫。むしろスッキリ見えますから、どんどん出しましょう。年齢を重ねるとおしゃれのセオリーが変わってきます。
デコルテの露出が気になる場合は、大振りのネックレスやミニスカーフを首に巻けば大丈夫。首を隠しても、胸元にVゾーンがつくられるので、スッキリ効果はそのままです。
まずは、3つの首で痩せ見えをつくりましょう。
[写真1]3つの首を出した「痩せ見え」コーデ
2.縦ラインでほっそり見せる
次に大事なのが、シルエットづくりです。
長方形で縦長のIラインをつくる。これも目の錯覚ですね。
痩せて見せるには、できるだけ縦に長い長方形のシルエットをつくります。細いウエストを強調すれば痩せて見えるように思いますが、バストからウエスト、ヒップにかけてのカーブは、グラマラスな体型に見せてしまいます。
長方形のシルエットをつくるポイントは、ボトムです。どんな体型の方でも痩せて見えるのは、ワイドパンツとフルレングスのプリーツスカート。
「パンツならワイドでなくても縦ラインがつくれるのでは?」と思われるでしょうが、裾がすぼまっていると、逆に上半身やヒップの大きさが強調されます。腰から裾に向かう垂直な縦ラインが、下半身をスッキリと見せます。
腿が張っている私は、パンツが苦手でスカートばかり履いている時期がありました。ところがワイドパンツなら、腿にゆとりがあり太さが目立ちませんし、ウエスト位置からのストレートラインが足を長く見せてくれます。
センタープレスが入っていると、より効果的。腰回りが気になる方は、ロングの羽織りもので隠しつつ、縦ラインを強調できますから、スッキリ見えますよ。私のように腿が張っていたり、O脚で足に自信のない方には、ワイドパンツがおすすめです。
[写真2]「縦ライン」を意識した「ワイドパンツ」×「ロングカーデ」のコーディネイト
プリーツスカートがもつ「驚きの着痩せ効果」
次におすすめするのが、フルレングスのプリーツスカートです。くるぶしくらいまでのフルレングスが、着痩せ、足長効果をよりアップさせます。90センチ丈で、身長157センチの私の足首までくる長さです。これは、たまたま撮影で白のボトムがほしくて、Amazonで買ったプチプラ商品です。
3年前のファッションセミナーでは、参加者のほとんどの方が試着されたところ、その着痩せ効果にみなさんが驚かれ、すぐにネットで購入されました。細い幅でしっかりとプレスされたプリーツは、たくさんの縦ラインをつくるだけでなく、その凹凸が、体に沿いながらも体型を拾わないので、ほっそりと見せてくれます。
白のプリーツスカートは、はくだけで抜け感をつくってくれる優れものですから、今でも私の推しアイテムのひとつです。次にもっと簡単に長方形ラインをつくる方法をお教えします。
[写真3]白のプリーツスカートを主役にした着痩せコーデ
「デザイン」や「色」より重要な、服選びのコツ
3.上下同じ色を合わせる(セットアップ)
最近ではセットアップと言って、上下同じ色、同じ素材の洋服がたくさん出ています。これはコーディネートがラクなだけでなく、上下同じ色を着ることで、簡単に縦ラインがつくれます。
おしゃれに自信がないと思われる方は、ここから始められると良いでしょう。
4.大切なのはサイズ感
洋服を選ぶのに、まずはデザインや色で決めますが、それ以上に重要なのがサイズ感です。サイズ感とは、ゆるみ感と言い換えても良いでしょう。体にぴったりしているシルエットのものがスッキリ見えるとは限りません。
むしろ適度なゆるみがあるほうが痩せて見える場合がよくあります。いつも着ているブランドのものでも、デザインや素材によって、サイズが微妙に違うこともよくあります。
たとえ1,000円のTシャツであっても、いつものジーンズであっても、必ず試着をしてから購入しましょう。そのシーズンのトレンドによっては、いつもよりも大き目を選んだほうがおしゃれな場合もありますし、タイトに着たい場合もあります。
最近はビッグシルエットのものが流行っているので、Mサイズの人がXLサイズを着ることで、ベーシックアイテムがトレンドアイテムになる場合もあります。ユニクロやGU、ZARAなどサイズ展開が多いブランドは、必ず2サイズ以上を試着してください。場合によっては、メンズのSサイズも試着しましょう。
私は、ウエストをシェイプしていないシルエットが好きなので、トップスはメンズのSサイズをよく着ます。
最終確認は「全身鏡から1.5m離れて」が鉄則!
最後はいつもの通り、全身が映る鏡の前から、1.5メートル離れてバランスを確認しましょう!
サイズ感も、デザインのひとつです。サイズ感によって、痩せて見えたり、太って見えるだけでなく、おしゃれに見えたり、もっさり見えたりします。
表記のサイズにとらわれず、ちゃんと試着をして、ご自分の目で確かめてください。これこそが、試着のいちばんのポイントです。
花本幸枝
グッドエイジスタイリスト