能登半島地震 元日の津波を教訓に 上越市港町1・2町内会 独自に避難所など点検

3階の教室で資機材などを確認。避難所の運営の仕方や駐車スペースの確保など、実体験に基づく検証が行われた(旧古城小)

能登半島地震で津波からの避難を余儀なくされた上越市港町1・2町内会は18日、指定避難所となっている旧古城小の点検や避難時の振り返りを行った。役員や消防団員ら10人ほどが集まり、地震による損傷状況や資機材の確認を行い、改善点をまとめた。

同町内会は地震と津波を受け、250世帯にアンケートを実施。15日までに64%に当たる160世帯が回答を寄せた。津波からの避難については「避難した」と答えた109世帯のうち、36%に当たる40世帯が旧古城小に避難。避難所までの移動は自動車が徒歩を上回った。町内関係者によると駐車場が足りなくなり、避難所周辺は車があふれたという。

参加者は旧グラウンドを駐車場として活用し、収容台数を増やそうと提案。住民3人に1人以上が高齢者という実情を踏まえ、自動車での避難を容易にする考えだ。また避難者から「視認できる情報が欲しかった」という意見が複数あったことを踏まえ、テレビの配備を市に求めたいという意見も出た。

同町内会は現状確認やアンケートの集計結果などをまとめ、今後の避難訓練に役立てるほか、市に資機材の充実や避難所の改善に関する要望を提出したい考えだ。

同町内会は津波で住宅地の道路が浸水。浸水時は「自宅前の道路が、ひざくらいの高さまで水に漬かっていた」と証言する人もいる。また、寝たきりなどの事情で自力避難が不可能な人もいた。市は2015年に策定した津波避難計画で、港町1の一部を「浸水開始時間までに避難完了が見込めない地域(避難困難区域)として、避難場所確保のための対策の検討を進める」としている。参加者からは「市として先進的な事業を考えて実行してもいいはずだ」と意見が上がった。

同町内防災委員会の泉秀夫さんは「今後の訓練の在り方を、今回の一連のことを機会に学び、生かしたい」と話した。

© 株式会社上越タイムス社