茨城出身の若手音楽家で吹奏楽団結成 団員60人 故郷に貢献 中学部活指導の受け皿へ

初の自主公演で演奏する「ブルーローズ」の団員ら(同楽団提供)

茨城県出身の若手音楽家や音大生らによる吹奏楽団「Blue Rose(ブルーローズ)」が結成された。団員60人が専門性の高さを強みに、県内限定で音楽活動を展開する。今後は中学校の吹奏楽部の地域移行で指導の受け皿としての役割も目指し、「若手が地域と音楽、教育の架け橋になりたい」と音楽活動で古里に貢献したい考えだ。

同楽団は、神奈川県在住の音楽大大学院生でチューバ奏者、吉田怜生さん(23)=茨城県ひたちなか市出身=が結成を呼びかけた。プロオーケストラ経験者や音楽教室講師などで活躍する20代が中心となり、音楽大に通う学生も参加。全員が茨城県出身者だ。

楽団名のブルーローズは茨城県章からイメージ。茨城県外で暮らす団員は楽団の活動時には帰郷し、これまでに各種イベントや学校などで演奏を披露してきた。大所帯のため、主催者の要望に合わせ、独奏から室内楽、吹奏楽まで幅広いリクエストに応えられるという。

1月上旬には茨城県水戸市で団員40人以上が参加する初の自主公演を実施。今月11日には同市内の中高生をゲストに招いたコンサートも開いた。

楽団は、公立中部活動の地域移行でも指導役を買って出たい考え。

県教育委員会によると吹奏楽部の指導が地域に移行した事例はあるものの、活動場所や楽器の手配・運搬などの課題があり、あまり進んでいないのが実情。同楽団として各市町村の担当者を訪ねる中、吉田さんも「地域移行での指導者がいない」という声を耳にすることがある。同楽団はこうした期待に応え、「地元で教育機能や高い専門性を持って子どもたちに教えられる団体」を目指す。

同楽団に参加した埼玉県在住の音楽大3年、柴沼怜央さん(20)=水戸市出身=は「中学生にとっては、(団員と)年齢が近く聞きやすいはず」と話す。都内在住の芸術大4年、只木結乃さん(22)=水戸市出身=は「大好きな音楽で地域や子どもたちに貢献したい。音楽で生活がきらめく瞬間ができたらうれしい」と意気込む。

同楽団は県内全域で活動し、今後は地域との関わりを広げたい考え。吉田さんは「いつかブルーローズに入りたいという子どもたちが現れたらうれしい。育てた人材が、将来は茨城に帰ってきて貢献できるサイクルをつくりたい」と青写真を描く。

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