スポットワーク仲介サービス市場に関する調査を実施(2023年)~2022年度のスポットワーク仲介サービス市場規模は前年度比30.6%増の648億円、人手不足が続く中、スポットワークに対する認知が働き手と企業の双方に広がり、仲介サービスの利用機会が拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のスポットワーク仲介サービス市場を調査し、分野別のサービス動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2022年度のスポットワーク仲介サービス市場(単発バイト求人情報サービス市場、短期バイト人材紹介サービス市場、人材マッチングサービス市場の3市場計)の市場規模は、前年度比30.6%増の648億円であった。

近年、スポットワークという働き方は、「スキマバイト」や「ギグワーク」などの言葉で認知が広がっており、空き時間を活用したい学生やフリーターのほか、会社員が副業としてスポットワークを行うケースなどが増えている。そうした状況で利用機会が増加しているのが、スポットワーカーと企業を仲介してマッチングさせるスポットワーク仲介サービスである。スポットワーク仲介サービスは、“好きな時に好きな場所で働きたい”、“副業をしたい”などの働き手のニーズと、“急な欠員を補充したい”、“特定のプロジェクトにだけ人材が必要”などの企業のニーズを取り込み、利用者数・利用企業数が順調に増加している。特にスポットワーク仲介サービスに対するニーズが高い分野としては、物流業界(物流倉庫内での軽作業など)や飲食業界(飲食店スタッフなど)があるほか、ITエンジニアなどのIT人材をプロジェクト単位で活用する際にも当該サービスが使われている。

2.注目トピック~「報酬の即日受け取り」を実現する単発バイト求人情報サービスのサービスモデル~

数時間から数日単位で勤務する単発アルバイト求人情報を取り扱う単発バイト求人情報サービスは、“今日働ける仕事”が見つかり、勤務後は即日で報酬を受け取ることができるというスピード感のあるサービスモデルが特徴的である。

利用者にとって大きなメリットとなる「報酬の即日受け取り」を実現するため、多くの単発バイト求人情報サービスで導入されているのが、報酬の立替払いサービスである。サービス提供事業者は、立替払いという形で利用企業(雇用主)に代わって利用者の報酬を支払うことで、利用企業はすぐに人材を活用でき、利用者ごとの給与計算などの煩雑な手続きを大幅に簡略化することができる。また、利用者は勤務後に即日で報酬を受け取ることができる。

単発バイト求人情報サービスは、従来の求人情報サービスとは異なる付加価値を提供する新たなサービスとして順調に市場を拡大しており、今後のスポットワーク仲介サービス市場の成長を牽引していくと期待する。

3.将来展望

2023年度のスポットワーク仲介サービス市場(単発バイト求人情報サービス市場、短期バイト人材紹介サービス市場、人材マッチングサービス市場の3市場計)の市場規模は、前年度比27.2%増の824億円の見込みである。2023年度は、働き手や企業にスポットワークという働き方に対する認知がさらに広がっていくことや、あらゆる産業での人手不足が続くことによって、スポットワーク仲介サービスの利用者および利用企業が増加し、当該サービスを介したマッチングが増えることで市場が拡大していくものとみる。

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