酒井健治×クロード・ドビュッシー 作曲家が作曲家を訪ねる旅

2021年度からスタートした 「C×C(シー・バイ・シー)」 は、気鋭の作曲家(Composer)が、過去の偉大な作曲家(Composer)と向き合うことで過去、現在、未来を一つにつなぐコンサート・シリーズ。
シリーズ Vol.6 では、若くしてフランスとスイスで学び、国際的に華々しい活躍を続ける作曲家、酒井健治と、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、その特徴的な作曲技法で音楽界に大きな影響力を及ぼした作曲家の一人であったフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーが対峙する。
ドビュッシーの名作「牧神の午後への前奏曲」は、1894年に作曲・発表され、現代音楽の扉を開いたともいえる作品。
今回は、日本ではまだ演奏されたことのない、ユニヴァーサル・エディションのチェンバーオーケストラ編成で披露。そして、同曲が誕生してから130年の時空を超え、同じ編成で聴く酒井の最新作を、日本の音楽界をリードするスターたちによる瑞々しい演奏で。

スフィンクスを越えた色へ
ドビュッシーに惹かれたことのない作曲家に出会ったことがない。当然だろう。彼は新しい色を、音楽史のなかにそれまで全く存在しなかった色彩をわれわれの前に提示した。現代の作曲家の使命は、ドビュッシーを越えて、みずからの新しい「色」を見いだすことにあるといって過言ではない。が、当然ながらそれはとてつもない困難を孕んでいる。多くの作曲家が、この問いの前に敗北を喫してきたースフィンクスの謎が解けなかった旅人たちのように。
しかし、酒井健治ならば、きっとできる。
あらゆる作曲技術を掌中におさめ、京都、パリ、ジュネーヴといった古都のアウラを身にまとったこの作曲家ならば、きっとできるはずだ。もちろんスフィンクスに食われてしまう可能性だってないではない。それでも われわれは、この作曲家に賭けた。2024 年 5 月。新しい色が誕生する奇 蹟の瞬間を、一緒に目撃してほしい。
沼野雄司(音楽学者/県民ホール・音楽堂 芸術参与)より

概要
C×C(シー・バイ・シー) 作曲家が作曲家を訪ねる旅 Vol.6
酒井健治×クロード・ドビュッシー
日程・会場:2024年5月11日(土) 神奈川県民ホール 小ホール
出演:
森脇 涼(指揮) 上野 由恵(フルート) 金子 亜未(オーボエ)
金子 平(クラリネット) 長 哲也(ファゴット) 福川 伸陽(ホルン)
福井 麻衣(ハープ) 三浦 友理枝(ピアノ) 田中 翔一朗(ピアノ)
尾池 亜美(ヴァイオリン) 須山 暢大(ヴァイオリン)
三国 レイチェル 由依(ヴィオラ) 山澤 慧(チェロ)長坂 美玖(コントラバス)
監修・作曲:酒井 健治
曲目
酒井健治
青のリトルネッロ(2018) ピアノのための練習曲集より(2011~\)
1.グルーヴ 2.エコーズ 3.Scanning Beethoven 4.ハーモニー
5.無限の階段 6.Sonnet for Lek & Sowat 7.夕べの調べの様に
8.トッカータ 9.死の舞踏
青と白で(神奈川県民ホール委嘱作品・初演)
新作(神奈川県民ホール委嘱作品・初演)

C.ドビュッシー
牧神の午後への前奏曲(1894/2014/P.フラディアーニ編曲版・日本初演) ピアノのための 12 の練習曲より(1915)
第10番「対比的な響きのための」 第6番「8本の指のための」
第11番「組み合わされたアルペジオのための」 白と黒で(1915)

主催:神奈川県民ホール(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)

公式サイト:https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/cxc06

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