青森県内のサイバー犯罪相談、摘発最多 県警「身に覚えないメールのURL、電話番号無視して」

NTTドコモを装ったフィッシングメールの一例。同社は注意を呼びかけている
県警が初開催した「サイバーセキュリティ競技大会」=9日、青森市の県警察学校

 インターネットを経由したトラブルに関する相談が青森県内で増加傾向にある。県警によると、2023年(暫定値)の相談件数は2132件と、この5年で400件以上増え、サイバー犯罪関連の摘発は123件、摘発人数は63人。いずれも統計開始以来、最多となった。相談はメールを介したトラブルが目立ち、県警サイバー犯罪対策課は「身に覚えのないメールに記載されたURLや電話番号は無視して」と呼びかけている。

 同課によると、23年の相談内容は「詐欺・悪質商法」が741件で最多。中でも、パソコンに「ウイルスに感染した」といった偽の警告を表示させ、画面に出た電話番号に連絡を迫り、復旧費名目で現金や電子マネーを求める「サポート詐欺」が目立つという。このほか、企業や金融機関などを装ったメールを送り付けて偽サイトに誘導し、IDやパスワードを入力させる「フィッシング」などの「迷惑・スパムメール」に関する相談も273件に上った。パソコンやスマートフォンを使い慣れていない高齢者からの相談が多いほか、中高生が保護者を介して相談するケースもあるという。

 警察庁の統計によると、23年のインターネット上での不正送金は全国で5528件(前年比4392件増)発生し、被害額は約86億円(同約71億円増)。いずれも過去最多を更新した。被害の多くはフィッシングによるものとみられるという。

 同課の泉泰伸次長は「メールに記載されたURLから接続される偽サイトは正規サイトと見分けがつきにくいほど手口が巧妙化している」ことを急増の一因に挙げる。泉次長は「送られてくるメールに添付された電話番号やURLはうそだと疑ってほしい」とし、誘導には乗らず正規サイトからアクセスすることを推奨する。

 9日、青森市の県警察学校では県内8署の署員16人がパソコンと向き合っていた。サイバー空間での犯罪捜査能力の向上を図ろうと、県警が初めて開いた「サイバーセキュリティ競技大会」。参加者は2人一組で、メールの発信場所やパソコンのインターネット上の住所に当たるIPアドレスなどの解析や画像解析など計10問に取り組んだ。

 警察庁サイバー攻撃対策室長時代に東京五輪のサイバー対策を担当した小野寺健一県警本部長は「サイバー犯罪の脅威を実感せざるを得ない情勢。検挙するためには知識、技能を習得するための自己研さんが必要不可欠だ」と参加者に呼びかけた。三沢署の野月耕平警部補(38)は「苦手意識を持たず、日々勉強を重ねて知識を深めていきたい」と語った。

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