花澤香菜が語るラジオ愛「『ひとかな』のゆるっとした雰囲気が心地良い」

2024年の初頭からワンマンライブ「HANAZAWA KANA Live 2024 “Intaglio”」の開催や、4月にはニューアルバムのリリース、9月10月に全国6都市でのZeppツアーの開催など、精力的な活動をしている花澤香菜。

そんな彼女が「私のホーム」と語るラジオ番組が『明治 presents 花澤香菜のひとりでできるかな?』(文化放送)である。今年で17年目を迎える同番組への思い、さらにラジオや2024年の活動についてニュースクランチ編集部がインタビューで迫った。

▲花澤香菜【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

2024年の目標は「輝く!」

「2023年の印象は……求めていただくことが多かった1年ですね。演じる役柄も幅がありましたし、朗読劇や2人芝居などにも出演させてもらいました。あと『ぽかぽか』(フジテレビ系)のレギュラーが始まったのも昨年でしたね。もちろん、これまでも求めていただいた以上は、全力でやろう! という意識があったのですが、より強くなったと思います」

2023年を振り返ってほしい、という問いかけに花澤はこう語った。とくに『ぽかぽか』に出ている姿は、ずっと以前からお昼の番組に出演し続けていたように、全く違和感がなく溶け込んでいるように映っている。

「いやいやいや……(笑)。ありがとうございます。見ている方がそう思ったのであれば、あの番組の雰囲気と出演者の皆さまが違和感をなくしてくださったんだと思います。特にハライチの岩井さんは、視聴者の方に向けてサラっと私の説明をしてくださったり、話しやすいパスを出してくださったりして、とても助かってます」

2023年も精力的に活動した花澤。今年もすでにニューアルバムのリリースやZeppツアー、さまざまな作品への出演が決まっているが、2024年の野望や目標などはあるのだろうか。

「ちょうど今年一発目のライブがあったので、聞かれて答えられるように今年の目標を立てたんですけど……笑わないでくださいね、今年の目標は“輝く!”です。高校の文化祭のテーマみたいで、ちょっと恥ずかしいんですけど…(笑)。

技術を磨いていくことは2023年も意識していたことなんですが、“磨いたら輝くよね”ということで“輝く!”にしました。年明けの時点で2024年にやることっていうのはだんだん見えてきて、昨年以上にいろいろなことをさせていただく1年になりそうです」

『ひとかな』リスナーには、フリートークで直近の仕事のこぼれ話をしてくれることを期待している方も多いだろう。

そうですね、ラジオは今後も続いてくれればいいなと思ってます。2024年はアニメの収録もあって、アルバムリリースやZeppツアーなどもあるので……。だって、もう2月ですよ!(笑) 気を抜いてると一瞬で終わってしまうので、スケジュールに追われないように、ひとつひとつの仕事を丁寧にして、輝いていければいいなと思ってます」

▲写真:カノウリョウマ

16周年にして作れた念願の番組本

16周年にして初の番組本『花澤香菜のひとりでできるかな?公式読本』(小社刊)が、今年の1月に発売された。区切りやすい15年でも20年でもなく、16周年というところに、どうしても出したい! という花澤の熱を感じた。

「私自身がラジオを聞くので、番組本にすごく憧れがあって、ずっと羨ましかったんです。今回、縁があって出させていただくことになって、とてもうれしいです。20年まで番組が続いているかもわからないですし、そもそも私が4年も待てない(笑)。自分で能動的に“番組本を出したい!”という思いが実ってのことだと思います」

番組本には16周年を記念した撮りおろしインタビューやグラビア、初回放送や懐かしの名物コーナーの振り返り、16年分の放送から厳選したトーク集、番組スタッフ座談会、スペシャルゲストによる対談が収録されている。

「ディレクターさんも作家さんもずっと同じなはずなのに、16年もやってると、みんなの記憶がバッチリ合うことってないんですよ(笑)。私も含め、みんなそれぞれ若かったし、ディレクターさんと私は人見知りだから、あんまり話し合いとかもせず、フィーリングでやってきたようなところがあって……。

私が言わないかぎり、打ち合わせを兼ねた食事会みたいなものも全然開かれないんです(笑)。時々、私が音頭を取って場を作るんですけど、そこで番組の話をしても、みんなの思い出が食い違う(笑)。

本の帯でも“ラジオはホーム”って書かれてますが、例えるなら、ラジオのスタッフは親戚みたいな関係性が一番近いかもしれないですね。ゆるっとした空気感も心地良いんですけど、こうしてしっかりした年表ができるのは、きちんと聞いてくださってるリスナーさんのおかげなんです」

そう笑いながら、スタッフとリスナーへの感謝を言葉にした。

自分のことで精一杯だった16年前

この本のインタビューで「きちんと話せるようになったのはここ4年」と振り返るが、今の彼女の軽快な語り口からは想像ができない。

「いやいやいや、口調がくだけちゃって申し訳ないですけど……本当そうなんだから!(笑) 特に最初の頃とか全然話せてないから! この本でも1回目の書き起こしが載ってますけど……ヤバいですよ、これ。文化放送さんもよく私に任せてくれたなと思います。いきなり1人で1時間しゃべらないといけないって、いま思い出しても震え上がりますよ。

自分が子役出身ということもあって、なんとか爪痕を残さないと!っていう気持ちが根本にあるんです。でも、その分、自分のことで精一杯だったのが当時の自分ですね。リスナーさんとのキャッチボールができてなかった。今はラジオの前にいるリスナーさんを想像して、話すことができているんじゃないかなと思います。それは自分がラジオを聞くようになったことが大きいですね」

今の花澤が、当時の彼女に伝えたいことはあるかと聞いてみた。

「うーん……いや“頑張れ”と言っても頑張ってるし、“しっかりしろ!”と言ってもできないだろうし…(笑)。そのまま突き進め!って伝えたいですけど……あ、“もう少しスタッフさんとコミュニケーション取ったほうがいいよ”ということは伝えたいですね。当時は自分のことで精一杯だったから。そんな自分を文化放送さんやスタッフさんが見捨てないでいてくれたから、17年も続いている。それは言ってあげたいかな」

ラジオ好きな花澤であれば、『ひとかな』について「こうしたほうがいい」などの提案をしているのではないかと思ったが、花澤は謙遜してこう語る。

「私から建設的な提案をした覚えがないんですけど…(笑)。印象に残っているのは、一時期、スタジオが取れない時期があったんです。ラジオの収録を決まった日時でやっていなかったからなんですが、会議室で収録していたことがあって。そこで“会議室で録ってるなら、どこで録っても一緒じゃない?”ってノリで、東京タワーとか、外ロケで録っていたのは印象深いですね」

スタッフとの印象的なやり取りについても聞いた。

「“話を途中で諦めちゃだめだよ”というのは、スタッフさんから言われたことで印象に残ってます。トークを“……っていうね”みたいに自分で切ると、なんとなく締まった感じにはなるけど、なんか守りに入っているように見えちゃう。

だったらもっと、ちゃんと説明するなら説明しきる、ボケるならボケきる、というのを徹底したほうがいいということを学びました。こういうのをちゃんと考えてくださっているのに、なかなか伝えてくれないんですよ(笑)」

このゆるゆるとした空気感が『ひとかな』の魅力だ。

「今は明治さんにスポンサードしていただいているので、1日でも長くスポンサードしていただくためには、もっと良い番組にしていかないと。この番組のゆるっとした雰囲気もいいんですけど、もっと話し合わないといけないとも思うので、このインタビューを通してスタッフの皆さんに伝えたいですね。“もっと密に話し合いましょう”って(笑)」

▲写真:カノウリョウマ

ラジオを聞くキッカケは『アルピーのANN』

現在ではラジオリスナーとしても知られている花澤。そもそも、ラジオを聞くようになったキッカケはどういったものだったのだろうか。

「小説家の佐藤多佳子さんの作品がとても好きで、佐藤さんの『明るい夜に出かけて』を読んでいたら、そこに『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』が出てきて、興味を持ったのがキッカケです。

ただ、その頃はオールナイトはすでに終わっていたので、同じアルピーさんの『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(TBSラジオ)を聴いたら、もう面白すぎて! 外で聴いてたんですけど、笑いが止まらなくなって交差点でうずくまっちゃったんです。ラジオってこんなに面白いんだ!って。そこからですね」

今でもさまざまなラジオ番組を聞くという彼女に、ラジオから学んだことを聞いた。

「私はフリートークやエピソードトークが大好きなんです。だから、自分でもトークはすごく意識してますね。あとは、例えば三四郎さんのオールナイトニッポンでも、必ず年に1回、中山きんにくんさんをゲスト呼んだりしますよね。ああいう定番は、長年やってきたからこその楽しみだと思っているので、この番組でも『水着回』とか『クリスマス回』などの定番は意識していると思います」

最後に、今後、ラジオでやりたいことについて聞いた。

「最初の頃に作ったノベルティで、ほしいもこクリアファイルというグッズがあるんですが、セブンネットショッピングさんで番組本を購入した方に抽選でプレゼントしているのを見て、“まだあるの? どんだけ作ったんだよ!”と思ったんです(笑)。なので、新しい番組グッズは作りたいですね。まだ在庫があるらしいんですけど…(笑)

以前、山崎怜奈ちゃんの『誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)に出演した際に、ノベルティのボールペンとメモ帳をいただいて、“いいなあ!”と思ったんです。それで、“うちでも作ろうよ”と言ったら、ディレクターが“『ひとかな』でしか作れないようなものがいいですよ”って。“じゃあ水着をプレゼントする?”と言ったら、極端すぎるって(笑)。あいだを取って水着ステッカーにしようかな。

番組イベントも長くやってないし、公開録音でもいいし、ロケも出てみたい。やりたいことはたくさんあるので、1日でも長く続けたいですね」


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