産直施設、道の駅でもPOSデータ活用を 青森県の販売力強化モデル事業、現場手応え

POSシステムを備えたレジに商品を通す産直施設のスタッフ=2月上旬、中泊町特産物直売所ピュア

 産直施設や道の駅の販売力強化に向け、青森県は販売時点情報管理(POS)システムのデータ分析結果を活用した集荷・販売を事業者らに勧めている。県のモデル事業では、前年のデータから期間ごとに売れ筋商品を算出し、仕入れや販売を集中的に強化する手法が売り上げ増に有効-との実証結果が得られ、各施設も手応えを感じている。

 県内に170カ所ある産直施設や道の駅では、POSレジを導入していても機能が十分に活用されていないのが現状という。多くの施設で出荷者の高齢化や商品の安定確保が課題となる中、県は昨年度から、POSデータ活用による消費者の需要に合わせた的確な商品補充体制構築に着手。2年間で12カ所をモデル施設に選定し、専門家の助言を受けながらデータの活用方法を模索した。

 1月に青森市で開かれた研修会では、県内3施設が売れ筋商品の販売を強化した期間の成果を発表した。中泊町特産物直売所ピュアは、POSデータから花や総菜、メロンやトマトなど前年同期の売り上げ上位10品目と生産者を抽出。専門のスタッフを置いてほぼ一日中生産者へ電話をかけ、出荷や補充を依頼した。

 生産者からの集荷が難しいものは市場から仕入れて品切れを回避した結果、各品目の伸びに加え、店舗全体の売り上げはお盆が前年同期比19%増、シルバーウイーク(秋の大型連休)は同2%増。一方、勤労感謝の日周辺は寒波の影響で客足が鈍く同13%減だった。前田晴香店長は「データを基に生産者に声がけできれば売り上げが上がる手段の一つになると感じた。これからもこの手法でやってみたい」と語った。

 つがる市農産物直売所はいずれの期間も売り上げが増加。道の駅おがわら湖(東北町)では、猛暑による高温障害の影響で商品がそろわず、秋の連休のみ売り上げが伸びなかった。

 つがる市農産物直売所の成田洋館長は、気象条件との兼ね合いに課題を残しながらも、「これまではデータではなく感覚と経験で運営していた。今後は年間の出荷や作付け量の目標を数値化し、生産者と一緒に計画を立てて実行したい」と話した。

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POSシステム 英語の「Point of Sale」の頭文字で、いつ、どの小売店で、どんな商品がいくらで売れたかを記録するシステム。レジなどの端末から情報を収集して在庫や売り上げを管理でき、天候や季節による売れ筋の変化を把握して販売戦略に活用できる利点がある。ポイントカードや会員証との連携により、購入者の性別や年齢、居住地などを加味した詳細な消費行動の分析もできる。

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