《未解決事件》神戸市須磨区 女性強盗殺人事件から21年 夫が問う「遺族の声、届いているか」

神戸市須磨区・女性殺害事件発生から21年を前に情報提供を呼び掛けるチラシ1000枚を配布した<2024年2月18日午前 神戸市須磨区 神戸市営地下鉄「妙法寺」駅>

神戸市須磨区の路上で女性が刃物で刺殺された強盗殺人事件は2月21日、発生から21年を迎える。

【画像】事件現場周辺と情報提供を呼び掛けるチラシ ※画像提供・兵庫県警

2003年2月21日・午後10時40分ごろ、神戸市須磨区横尾の市営地下鉄・妙法寺駅の近くで、仕事を終えて自宅に帰る途中だったパート従業員の寺田和子さん(当時44歳)が何者かに刃物で刺され死亡した。
兵庫県警・須磨警察署捜査本部は、のべ約5万9000人の捜査員を動員しているが、犯人検挙には至っていない。

18日午前、寺田さんの夫や地域の自治会、兵庫県警・捜査一課、須磨警察署員、公益社団法人「ひょうご被害者支援センター」、犯罪被害者・遺族の自助グループ「六甲友の会」の有志らが、情報提供を求めたチラシ1000枚を配り、呼びかけた。

チラシを配り終え、寺田さんは、「事件から21年、ずっと犯人検挙を願い続けている。初めのころは実費でさまざまな準備をして、個人的に活動してきたが、地域の方やひょうご被害者支援センターの皆さんの協力でここまで頑張れた」と振り返る。

◆「とにかく情報が欲しい」その一心で…

寺田さんは冷静に見つめている。「証拠が乏しく、犯人検挙につながる手掛かりがつかみにくいのも現実。しかし、科学捜査の技術が進むとともに、これまで不鮮明だったものがしっかり見えることもあるのでは、と思う。いつも、『どこかから有力な情報が出てこないか』そんな思いで過ごしている。21年経った今だから言えること、うわさ話でであってもいい、とにかく情報が欲しい」と訴える。

その一方で、犯罪被害者等基本法の成立(2004年)や殺人事件などの時効撤廃(2010年)に向けての活動に力を注いできた寺田さん。現在は主に関西の犯罪被害者でつくる「つなぐ会」の代表幹事を務めるが、2018年に18年間の歴史に終止符を打った全国犯罪被害者の会(あすの会)での活動にも精力的に関わってきた。

■「伝わっているか、遺族の声」~心情聴取・伝達制度

2023年12月、犯罪被害者や遺族が、刑務所などに収容されている加害者本人に、刑務官らを通じて心情を伝える「心情聴取・伝達制度」が始まった。 被害者側が希望すれば、心情を伝えられた加害者の様子や発言を知ることができる。これまでは、 刑務所を仮釈放となったり、少年院を仮退院したりして、保護観察となった者を対象に導入していたが、今回は範囲を広げた。
寺田さんはこれに先立つ同年11月、 関東の犯罪被害者遺族とともに、 制度の適切な運用を求める要望書を法務省 に提出した。 その上で、「被害者を取り巻く環境は整ってきたが、法務省の“縦割り”の弊害も見えてきた。検察庁、矯正局、保護局が連携できているのか、という思いがある。 まだ世間で十分認知されていない。被害者遺族の声が届いているのか、被害者の目を入れて運用状況を検証するべき。今後も訴え続けなければ」と話す。

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事件発生から今年(2024年)1月末までに寄せられた情報は189件、このうち直近の1年では6件にとどまる。

■情報提供は兵庫県警・須磨警察署捜査本部、電話078-731-0110へ。

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