◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(18日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)
13番に入ったとき、隣接する11番で後続組を見送ったギャラリーが、続々と松山英樹の組に押し寄せた。12番で15mのバーディパットを放り込み、首位と1打差。最終組の3組前で6打差からの猛チャージに群衆は“予感”を感じ取っていた。
スタート1番(パー5)からの3連続で始まった9バーディ「62」のビッグスコア。米ツアーで自己最大の6打差逆転劇だが、松山には「ショットの不安が大きかったし、逆にミスショットが出ると思ってやっていた。それが、良かったと思います」と確信めいたものはなかった。
朝イチで握った3Wは「とんでもないショット」になって右ラフへ。そこから2オンでバーディを奪うと、2番はグリーンを外してチップイン、3番では5mを入れた。前半のフェアウェイキープは2ホールだけ。ショットで右手を放すシーンが徐々に増え、8番では左に曲げたティショットがファンのいるテント内へ。それでもベアグラウンドからフックさせてパーオンさせて、ピンチをしのいだ。
「後半になって上が伸びていなかったので、チャンスがあるかなと思った」。後半インを5打差で迎えたが、2度目の3連続バーディで一気に差を詰める。10番でティショットをグリーン手前まで運び、11番(パー5)は深いラフからの3打目を30cmに寄せた。12番で15mのロングパットを決めると、ギャラリーがヒートアップした。
声援に応えるように、終盤はショットの精度に磨きがかかる。松山自身が「特に良かった」と納得する15番の2打目は187ydを30㎝につける。16番(パー3)はもう少しでホールインワンのショットからタップイン、ついに首位を捉えた。周囲がスコアを落とす中、17番(パー5)で1mのバーディパットを決めると、後続に3打差の単独首位に立っていた。最終18番でパーパットを決めると、勝利を確信するように力強くこぶしを握った。
2022年1月の「ソニーオープン」以来のPGAツアー通算9勝目。「8回優勝してから、けがなどですごく長く感じていた。トップ10にも全然入れなくなって、優勝できないんじゃないかと思うこともたくさんありました」とブランクを振り返る。トップ10さえ、昨年3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」の5位を最後に遠ざかっていた。
体の痛みを抱える中、昨季はフェデックスカップランクが自己ワーストの50位で終えた。最終戦「ツアー選手権」進出を逃し、現役最長だった連続出場が9年でストップ。体調が上向いて迎えた今季、「もう少ししたら、上位で戦えるんじゃないかと感じていた」と6戦目を迎えていた。
2年ぶりの優勝を挙げ、次戦は3月7日開幕の「アーノルド・パーマー招待byマスターカード」(アーノルド・パーマーズ ベイヒルクラブ&ロッジ/フロリダ州)を予定。その翌週に「ザ・プレーヤーズ選手権」、4月には今季メジャー初戦「マスターズ」と大舞台が待つ。「今週の結果を自信に変えて、まだ時間があるので、マスターズまでしっかり高めていければいいですね」と力強く話した。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/谷口愛純)