火星そっくりの環境で一年間生活。NASAが志願者募集中

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NASAは、将来の火星有人探査計画のため、向こう1年間の火星環境シミュレーションへの参加者を募集している。

このミッションはCrew Health and Performance Exploration Analog(CHAPEA)と呼ばれる3つのシミュレーション計画のふたつ目で、2025年春に開始される予定だ。ちなみに、最初のシミュレーションは昨年6月に開始され、4人が参加して現在も継続中だ。

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模擬火星環境での生活期間は387日間を予定しており、その間に参加者は模擬船外活動、ロボット操作、生息地の維持、個人の衛生、運動、作物の生育など、さまざまな活動を実際に行う。もちろん、可能な限り火星の現実に近づけるため、参加者は物資の制限、孤立状態、機器の故障といった環境面でのストレスを与えられ、その反応が試されることになる。

第2のシミュレーションとなる今回は、ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターに、Mars Dune Alphaと呼ばれる約160平方メートル(約48坪)の居住環境を3Dプリントで作り、参加者はその中で1つめのシミュレーションと同様に、様々なストレスに対応しつつ生活することになる。

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参加者は一般からボランティアとして募集される。募集期間は4月2日までで、参加資格は「健康でやる気のある米国国民または永住者」で、年齢30~55歳の非喫煙者、当然ながら他の参加者やミッション管制官と効果的にコミュニケーションが取れる英語能力が必要だ。さらに、ユニークかつやりがいある冒険への高い欲求と、人類初の火星旅行に備えるNASAの活動への貢献の意志を持っていることが求められる。

選考は宇宙飛行士候補者の募集における、NASAの基準(認定機関でエンジニアリング、数学、生物学、物理学、コンピューターサイエンスなどのSTEM分野の修士号を取得し、少なくとも2年間のSTEM専門職経験、または最低1000時間の航空機操縦経験を有することなど)に基づいて行われる。

NASAはアルテミス計画において、これまで以上に月面を詳しく探索し、女性初、有色人種初の飛行士を月面に着陸させることを約束している。月やその周辺で得た学びと地上でのCHAPEAのような活動によって、NASAは次の大きな目標である火星への飛行士派遣の準備を整えていくとのことだ。

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