「行き詰まった感じはなくて。ただ、結果がほしかった」 “新生チーム松山”にとっての初勝利

新生チーム松山。左からダンロップのツアーレップ宮野敏一氏、須崎雄矢トレーナー、黒宮幹仁コーチ、松山英樹、早藤将太キャディら(撮影/谷口愛純)

◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(18日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)

「長かった…というか、逆に早かった。あっという間に、過ぎたかなという感じはあります」。松山英樹にとって、未勝利の2年間は“出口が見えないトンネル”では決してなかった。「やることが沢山あるなかで、一つ一つこなしてきたからこそ、そう思うのかな」と、穏やかな口調で振り返った。

体の痛みに悩まされた昨季を終え、今季はひとつの転換期だった。早藤将太キャディ、黒宮幹仁コーチ、須崎雄矢トレーナーから成るチーム構成が、しっかり固まったのは今年から。チームは1月「ザ・セントリー」から帯同し、ハワイでの2戦後1週空けて「ファーマーズインシュランスオープン」から今週まで4連戦を組んでいた。

須崎トレーナーは「4連戦目でだいぶん疲れも溜まっているなと思いつつ。万全な状態で戦ってほしいとケアしていました」という。昨年は首、背中、腰と代わる代わる訪れる痛みに対応しながら、棄権を余儀なくされる試合もあった。トレーナーとして、今年はまず「棄権させないこと」が最優先事項。昨季よりもかなり体の状態は良くなったが、シーズン序盤の4連戦は2014年以来のこと。加えて前週「WMフェニックスオープン」は悪天候による連日の順延もあって、疲れのほどは見て取れた。

それでもルーティン通り、連日スタートの1時間半前には練習をスタート。ショットとパットで試行錯誤が続く中、連戦中も様々な練習法を試していた。松山自身「毎週(やることは)変えている」と話していたが、ボールを踏んでのショット練習、手元にボールを挟んでのパッティング練習、2週前の「AT&Tペブルビーチプロアマ」までは、プレー中もショット前ルーティンでほぼ毎回、テークバックを確認していた。

黒宮コーチは「今季は開幕からやることをあまり変えず、成績に関係なくやり続けてくれていた。それが今の、この結果につながった」と話す。アプローチの仕方は様々でも、目指す目標はブレなかった。地道な取り組みが、ひとつ今週の結果につながった。

松山をずっと側で見ていた早藤キャディは「チームの雰囲気がいいがゆえに、成績が出せていなかったのがもどかしかったんじゃないかと思います。行き詰まった感じはなくて。ただ、結果がほしかった」と話した。

黒宮コーチは、結果が出るのは“早くて5月”と考えていた。「やり続けて、メジャーの試合が集まるときにうまくかみ合ってくれたらと思っていました。それが早い段階で形になったのは、よかった」と喜ぶ。

今後は2週間の休息を挟み、3月7日開幕の「アーノルド・パーマー招待」、翌週の「ザ・プレーヤーズ選手権」、4月11日開幕の「マスターズ」とビッグゲームが待つ。「ほっとしました、とりあえず」と黒宮コーチ。2年ぶりの優勝も、チームには通過点で、さらなるサポートを続けていく。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/谷口愛純)

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