當真あみ初主演ドラマ『ケの日のケケケ』3月26日放送 共演に奥平大兼、尾野真千子ら

當真あみがテレビドラマ初主演を務める特別ドラマ『ケの日のケケケ』が、NHK総合・BSプレミアム4Kにて3月26日22時より放送されることが決定した。

本作は、27歳の脚本家・森野マッシュのデビュー作となる第47回創作テレビドラマ大賞受賞作。“感覚過敏”の一人の高校生の少女が、仲間とともに自分の居場所づくりをしようとする姿を通して、すべての“生きづらさ”を感じる人々に勇気を届ける。

15歳の片瀬あまね(當真あみ)が生きる世界は、刺々しくうるさくて、過剰にまぶしい。感覚過敏と共に生きるあまねが入学した東高校には、部活動への入部を強制する校則が存在した。聴覚、視覚、味覚が特に過敏で、昼休みを教室で過ごすことも難しいあまねにとって、部活は非常に難易度が高い。そこであまねは、同じく部活に入りたくないという同級生・進藤琥太郎と共に、校則を守りながらも人生を休憩したい人のための同好会、「ケケケ同好会」を設立することに決める。

主人公あまねを當真、あまねの同級生・琥太郎を奥平大兼が演じるほか、尾野真千子、岡山天音、山田キヌヲ、板橋駿谷が共演に名を連ねる。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(Prime Video)、NHKドラマ『外事警察』の堀切園健太郎が演出を務め、Ryu Matsuyamaが音楽を担当する。

コメント
●當真あみ(片瀬あまね役)
『ケの日のケケケ』で片瀬あまねを演じました、當真あみです。私が演じたあまねは光や音に敏感で、食べられる物と食べられない物などがある感覚過敏の女の子です。感覚過敏とは何か、あまねはどんな世界で生きているのかを知る必要があり、感覚過敏を知っていく中で自分にとって普通だと思っていた事が全くそうでは無いという事に気付かされました。
個人差があり、人それぞれな感覚。どうにもならないことばかりでも自分が自分でいられるよう努力するあまねの姿とともに、感覚過敏について見る方に知っていただけると嬉しいです。

●奥平大兼(進藤琥太郎役)
『ケの日のケケケ』で進藤琥太郎を演じました、奥平大兼です。
琥太郎という役柄について、個人的に最初の方は理解するのに時間がかかった記憶があるのですが、その中で役柄に歩み寄っていくのが楽しかったです。
當真あみさんとは少し前にドラマで共演して以来で、今回も不思議な関係値だったので、作品に入る前にどのように演じるか楽しみにしていました。
撮影させていただいた学校がとても綺麗な風景で、季節的に秋というのもあり、気持ちがすごく落ち着いた状態で撮影出来ました。また、この作品ならではのゆったりした空気感がとても居心地良かったです。
この作品に出てくる子たちは、みんな自分の中のやりたいことや、正しいと信じているものに正面からぶつかって、頑張っている子たちだと思います。そんなみんなの姿と、この作品に流れている独特な空気もぜひ感じながら見て頂きたいなと思います。

●森野マッシュ(脚本)
はじめまして、森野マッシュです。
こうしてみなさまにご挨拶できるのも、大賞をいただけたからこそ。
嬉しすぎるからもう一度、はじめまして!
『ケの日のケケケ』は、私が思う愛おしい人たちをたっぷり詰め込んだお話です。
希望を探そうとすることすらしんどくて、上どころか前すら向けないし、歩くとか絶対無理。そういう日々の中で観ても辛くならない作品を目指して書きました。
どうか、楽しんでいただけますように!

●落合将(制作統括)
創作テレビドラマ大賞、今年の受賞作は、「刃のような」作品だと私は捉えています。
令和世代の森野さんのデビュー作は、一読して痛烈に従来の昭和的価値観に疑問を投げかけているように感じました。
「人は等しくみな平等」「頑張れば夢は叶う」「話をすれば理解しあえる」「家族も夫婦も皆仲良く、それが幸福」と高度経済成長期の昭和がアナウンスしてきた言葉たちは令和の今、大きく綻んで、格差社会の中で収入も二極化し、家族も持てない恋愛もできない、そんな単身者世帯だらけ、が令和の日本の現実となっています。「ケの日のケケケ」は一人の高校生の今を描くことで、昭和的な価値観のゆるやかな強制を風刺して、「人間はそんなに単純なものではない」「無神経で理不尽な現実から、自らの強い意志で距離をとって、命がけで守るべきものがある」というような、悲鳴に近い叫び声を若き作者があげている気がしました。
私たちが生きている日常での現実の人と人との生のぶつかり合いには、とても複雑な情報性と深い魂のやりとりの世界が隠されている。そして人間は、不条理な「けもの」を内面に飼っている単純化できない生き物である。私はそういう世界を描いて、戦後の日本の社会が人々にあてはめようとしてきたつまらない価値観に反逆したい、という静かな怒りが、無意識かもしれませんが、令和世代の森野さんのこの台本からは聞こえてくる気が私はしました。
27歳の俊英作家の全く「新しい」透明な叫び声に、このドラマに触れることで、耳をすませていただけたら。

●堀切園健太郎(演出)
若者の生きづらさはいつの時代にもあるが、あまりにも繊細なその配慮のあり様に舌を巻く。しかし、描かれる世界はまさに社会の縮図だ。多様性が叫ばれ過度な優しさが求められる時代に、どの視点でこの物語を捉えるかで自分の立場を見透かされる。
悩み、苦しみ、傷ついた主人公が自らの手で居場所を勝ち取ろうとする姿は、若者だけでなく大人へのメッセージだ。デリケートな題材を真面目で誠実なだけの描写に留めず、物語として昇華させている点はこの脚本の大きな魅力である。
実際の当事者から話を聞きながら、この難役を繊細かつ前向きに、時にコミカルに演じてくれた當真さんは、今の彼女にしか演じられない魅力に溢れている。

(文=リアルサウンド編集部)

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