今どきの受験生はスマホが味方? 多様なアプリ登場 AI自動解答や名物講師の授業動画、チャットで励まし合いも

授業形式の動画配信アプリを視聴する高校生

数学問題をAI(人工知能)が自動解答、英単語や数学の公式を暗記、塾さながらの授業動画の視聴、将来の夢から大学を検索…。勉強や情報収集に役立つ多種多様なアプリが登場し、今どきの受験生はスマートフォンでうまく使っているらしい。どんなアプリをどう活用しているのか取材してみた。

「電車通学なので移動中のちょっとした時間など、いつでもどこでも勉強できて助かる」。西大寺高(岡山市)の3年生(18)がスマホを使った勉強のメリットを説明する。お気に入りは英単語の暗記用アプリ。間違えた単語だけを再出題したり、打ち込んだスペルミスを瞬時に教えてくれたりする機能があり「自分で答え合わせをする必要がなく、取りこぼしもないので効率的」という。

授業形式の動画配信アプリを愛用する学芸館高(同)の2年生(17)は「インプットの中心は動画」と言う。「動画学習で足りないところを参考書で補っている。特に日本史のストーリーが分かりやすく、頭に入りやすい」。教科書や参考書とは違う魅力を感じているようだ。

授業動画の配信では「社会科を爆笑させる風雲児」「難関大物理のエキスパート」と紹介される名物講師らが各教科を解説し、ラインアップは豊富。ネーティブが英文を読み上げるリスニング学習用や、数学問題をスマホのカメラで撮るとAIが自動的に解答、解説するアプリも登場し、日々“進化”している。

カバーするのは学習分野に限らない。志望校や目標が同じ生徒同士が集まってチャットで励まし合う▽模試や共通テストの成績から志望校の合格率を算出▽取得したい資格や学費から大学を検索―などモチベーションアップや進路決定に役立つアプリも多い。

志望校や目標が同じ生徒同士が集まって励まし合うアプリの画面

ベネッセホールディングス(岡山市)の広報担当者は「地域事情などで塾に通えない人でもスマホがあれば簡単に同様の勉強ができるのがメリット。うまく使えば場所や時間を選ばず高いモチベーションを保てる」と説明する。

ベネッセ教育総合研究所(同)などが2023年に行った調査では、家庭学習をしている高校生のうちスマホアプリを活用しているのは25・7%。学年が上がるにつれ割合は増える傾向にあるという。学習塾・鷗(おう)州塾(広島市)岡山地区統括の栗原宏二さん(49)は「新型コロナウイルス下に学校や塾でリモート授業が広がるなど学校教育のデジタル化が急速に進み、アプリ利用に抵抗がなくなっている」と分析する。

アプリについて岡山県立高校の女性教諭(27)は「教科書や参考書と違い、手で書いて覚えたり気付いたことを書き込んだりするのが難しい。ゲームやSNSなどの誘惑があるデメリットもある」と指摘。「アプリと冊子、それぞれの利点を生かしながら自分に合った勉強法を見つけてほしい」とする。

25日の国公立大の2次試験まであとわずか。それぞれが選んだ勉強で積み上げた成果をフルに発揮してほしい。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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