ウッズとナイキ“離別”の陰にジョーダン?

胸には新ブランドのロゴ(撮影/田辺安啓(JJ))

ホストプロとして「ジェネシス招待」に出場したタイガー・ウッズは、2日目のラウンド途中に体調不良で棄権した。残念な結果ではあるものの、原因が足の具合の悪化ではなかったこため、多くのファンや関係者が胸をなで下ろしたのは確かだ。

今大会の開幕前には、ウッズ自身のウェアブランド「Sun Day Red」が、テーラーメイドの新しいアパレルとして発売されることが発表された。1996年のプロ転向以来、約27年も続いたナイキとの契約が、昨年からウワサされていた通り終了となった。

タイガー・ウッズの記者会見(撮影/田辺安啓(JJ))

2009年に巻き起こったウッズの女性スキャンダルの際にも契約を打ち切ることなくサポートし続けたナイキが、なぜ今回、契約を終了することとなったのだろうか?その理由を探ってみると、妙に信憑性の高い情報が漏れ聞こえてきたので、ここで考察したい。

ナイキは2016年にゴルフ用品の製造・販売を終了する大きな決断をし、クラブやボールの市場から撤退した。しかし、ゴルフシューズやシャツなどのアパレルは今でも作り続けている。

ナイキのツアーバス(撮影/田辺安啓(JJ))

ロリー・マキロイ(北アイルランド)やスコッティ・シェフラーなどナイキを着用している選手も多く、試合会場には(アパレルのサポートのため)ナイキのトレーラーも来ている。

つまり、ナイキ社そのものがなくなったわけではないのだ。しかし、そのナイキがウッズとの契約を終了させたのは、ある理由があるようだ。

ナイキのエアジョーダンブランドのシューズ(撮影/田辺安啓(JJ))

ナイキのブランドの一つに、エアジョーダンがある。NBA(全米プロバスケットボール)のスター選手だったマイケル・ジョーダンのブランドで、スニーカーやバスケットシューズでは絶大な人気を博している。

そのエアジョーダンが、近年、ゴルフシューズやシャツのラインを登場させ、こちらも人気なのだ。ところが、ナイキのゴルフといえばタイガー・ウッズ。タイガーのロゴを載せたシャツやシューズもあって人気だったが、ジョーダンのゴルフシューズとは市場でバッティングする。

これをウッズ側が疑問視した、というのだ。ナイキとしては、人気ブランドなので消滅させるわけにもいかない。一方、ウッズのブランドはバスケ市場には浸透していない。

シューズにも走る虎マーク(撮影/田辺安啓(JJ))

“タイガーマークのバスケットシューズ“が売れるのかどうかといえば、確かに疑問である。この溝が埋まらなかったために、ウッズがナイキから離れざるを得なかった、というのが、あるメーカー関係者の話だ。

今後、ウッズの新しいブランドがゴルフ界を席巻するのか、それともエアジョーダンが勢力を拡大するのか。この攻防も眺めてみたい。(JJ田辺カメラマン)

テーラーメイドのツアーバス(撮影/田辺安啓(JJ))

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