けがをしている地域猫 去勢避妊していない子猫を救え サポート会社が実施するTNRの現場

猫のあらゆるサポートを実施する団体「ねこから目線。」がTNRのために保護した猫たち

野良猫や地域猫などは飼い猫と違い、去勢避妊手術を受けておらず、野放しにされているケースもあります。繁殖が繰り返され、中には猫を嫌う人から虐待を受けてしまうこともあります。猫と人間が共生する社会づくりを目指して実施されるのがTNRという活動です。「Trap(捕獲)」「Neuter(不妊)」「Return(戻す)」の頭文字をとったもので、猫好きにはよく知られています。

心ある猫好きさんからのTNR依頼

そのTNRですが、第一段階の「Trap(捕獲)」が特に大変です。関西を拠点に野良猫や保護猫にかかわるあらゆるサポート活動を行う会社「ねこから目線。」のTNR活動の様子を紹介します。

今回のTNRは、関西圏のとある地域で暮らす猫好きさんからの依頼。「ねこから目線。」は以前にもその地域でTNRを実施したことがありますが、その猫が以前に出産したとおぼしき子猫たちを連れて現れるようになり、それを受けてのTNR依頼でした。またTNR済みの別の猫が、しっぽの先をけがしている様子で、捕獲して動物病院で適切な処置をしてあげてほしいとも言います。

大小の捕獲器を設置しての「Trap(捕獲)」

猫好きの依頼主さんは、日頃から猫たちにエサを与えていることから、それぞれの行動をある程度把握していると言います。とはいえ、捕獲すべき猫たちは複数。1匹くらいは捕まえることができたとしても、それに驚いた他の猫たちが一目散に散り散り逃げていってしまうことも考えられます。「ねこから目線。」では猫たちが訪れるエリアの各所に大小2台の捕獲器を設置。できるだけ同時に複数の猫たちを捕獲することを目指しました。

子猫用に設置した小型の捕獲器には、スムーズとはいかなかったものの、依頼主さんが子猫たちを促してくれたこともあり、なんとか全匹を捕獲できました。

まずは子猫たちを捕獲することができました

TNR済みでけがをしている猫は、子猫たちが捕獲される状況を見ており、その場から離れてしまいました。しかし、しばらく待っていると再びやってきてくれました。やや警戒気味でしたが、意外とすんなり捕獲器の中へ。依頼主さんのサポートのおかげで一晩で全匹の「Trap(捕獲)」が実現しました。

続いて怪我をしている猫も捕獲することができました

「Neuter(不妊)」「Return(リターン)」し元いた場所へ

捕獲後、すぐに動物病院へ連れていき、去勢避妊をしていない猫たちには手術を実施。しっぽにけがをしている猫には、断尾処置を施しました。これがTNRの「Neuter(不妊)」になります。全ての猫の手術・処置が終わったところで、「ねこから目線。」スタッフが再び現場付近に猫たちを連れていき放してあげました。これが「Return(戻す)」になりますが、この際、猫たちはみんな元気に走っていき、スタッフは安心したと言います。

以前のTNRも含めると、この現場で実施したのは合計6匹。今後もさらに増えることもあるかもしれませんが、依頼主さんの「わかる子たちだけでもなんとかTNRを実施してあげたい」という行動が身を結んだ結果となりました。

人間と猫が共生するためのTNRの重要性

一般に猫のメスは生後4~12 カ月で妊娠できるようになり、オスは生後 8~12 カ月で交尾できるようになると言われています。そして一度の出産で3〜6匹の子猫を産むといわれており、出産回数は年に2〜3回。つまり生後1年経過後には年に約10匹出産することができるのです。

TNRを実施しないまま放っておけば、猫の数が増えることとなり、生まれてきた猫たちは結果的に行き場を失い、殺処分される数も増えてしまうことになります。

こうした事態を避け、人間と猫との共生を目指すためにもTNRは必要不可欠な活動です。もし、近隣で発情して鳴いている猫を見かけたら、どうか「ねこから目線。」のようなところに相談してみてください。その行動が、結果的に殺処分の数を減らし、人間と猫が仲良く暮らせる社会づくりの一助となるはずです。

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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