終活の始まりは財産一覧表を作ることから始めよう! 作成した表はどんなことに活用できる?

終活は何歳になったら始めるべきですか

終活という言葉は世の中に定着しつつありますが、「何歳から何を始めたら良いのですか」という質問を受けることがあります。そのときには「思い立ったが吉日、今日から始めてください」とお答えします。

終活は、まだまだ「亡くなる準備を始めること」というイメージが強く、60歳後半や70歳になってから、と考える人が多いようです。しかし、終活は「亡くなる準備」ではありません。終活は「今からの人生を今まで以上に楽しむための準備を始めること」なのです。 そのため、終活を何歳から始めるかは自由であり、思い立ったが吉日なのです。

終活は具体的に何をしたら良いですか

終活を始めるタイミングの次に気になることは、具体的に何をしたら良いのか、ということでしょう。答えは「財産一覧表を作ること」です。文字だけを見ると、難しそうと思われるかもしれませんが、財産一覧表は紙1枚と鉛筆があればでき上がります。

財産一覧表とは

財産一覧表には具体的に何を書けば良いのか、例をもとに見ていきましょう。図表1のように、毎年決めた日(例:12/31・1/1・誕生日・記念日等)に自分の財産とその価額を書き出していきます。

図表1

(1)預貯金
預金の種類(例:普通預金・当座預金等)、金融機関名、支店名、その日の残高を書きます。

(2)金融商品
商品の種類(例:投資信託・株式等)、金融機関名、支店名、その日の残高を書きます。なお、投資信託の場合は具体的な商品名、株式の場合は具体的な法人名も書いておくと良いです。

(3)不動産
不動産の住所、固定資産税評価額を書きます。農地や山林といったものも書くのを忘れないようにしてください。

(4)マイナスの財産
住宅ローン、事業をされている人であれば事業の借入残高、といったものを書きます。

財産一覧表を作っていろいろなことに活用しよう

次に、実際に作成した財産一覧表をどういったことに活用できるのか見ていきましょう。

(1)家計管理

財産一覧表と家計管理は関係のないイメージがあるかもしれませんが、財産一覧表の作成は家計管理につながります。財産一覧表に預貯金の残高を毎年書いていくと、前年からどれぐらい預貯金が増えたのかが一目瞭然です。

つまり、「自分の収入」や「自分の支出」といったそれぞれの集計をとらなくても、「預貯金の増額分」が分かるので、「自分の収入-自分の支出」を計算したことと同じになります。家計簿をつけるのが面倒だという人には、お勧めです。

(2)財産の相続対策

財産一覧表を作ることで、「この財産を将来、誰に譲ろうか」と、相続について考えやすくなります。自分の財産の将来の行く道を自分で決めることができます。また、「誰に渡すか」だけではなく、財産を可視化することで、「生活や遊びにはこのぐらいお金を使うことができる」ということが分かり、老後の安心感にもつながります。

さらに、令和6年4月1日以降、不動産の相続登記が義務付けられます(※)。そのため、登記漏れがない対策の1つに使えます。

(3)相続税の対策

財産一覧表を作ることで、相続税がかかるのか、という暫定的な判断をすることができます。もちろん、財産一覧表の金額と相続税の計算時の金額が異なる財産もあるので、最終的には税理士に相談する必要がありますが、その相談の際にもこの一覧表を持参することで、相談もしやすくなります。

終活をするなら財産一覧表の作成から

財産一覧表を作ることで、終活のみならず、今現在の生活や将来の生活にも役立ちます。終活を始めようと思い立ったら、財産一覧表を作ることから始めてください。そして、この一覧表を活用して、今まで以上に楽しい生活を送るための材料にしてもらえれば幸いです。

出典

(※)法務局「令和6年4月1日から 相続登記の申請が 義務化されます! 」

執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

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