松山英樹は3番ウッドを「Qi10」に シャフトを“ブラックDI”にした理由

2年ぶりVを挙げた松山英樹のクラブセッティング

◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(18日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)

6打差の7位から出た松山英樹が、ノーボギーの9バーディ「62」の猛チャージで通算17アンダーとしツアー9勝目を飾った。世界ランキングは55位から20位へと一気にジャンプアップ。フェデックスポイントランキングも54 位順位を上げて3位に。歴代覇者として臨む4月のメジャー第1戦「マスターズ」へ向けて弾みをつけた。

ドライバーは、ことしに入ってからもスリクソンの「ZX5 MKII LS」を継続使用中。毎週のように“より良いもの”を求めてライ角をフラットにしたり、スリーブの重さ違いを試したりといった細かいテストを繰り返しているものの、結果的にモデルもスペックも変わらず長期政権が続いている。実際に今週のストロークゲインド・オフ・ザ・ティ(ティショットのスコアへの貢献度)は1.116で全体の16位と、スタッツも悪くない。

3Wは新しい「Qi10」。シャフトはDIの黒塗りバージョン(提供:宮野敏一氏)

大きな変化は、その下の3番ウッド。今週から、テーラーメイドの新しい「Qi10」へスイッチした。ことしの初戦「ザ・セントリートーナメント」では「Qi10」より小ぶりなヘッドの「Qi10 ツアー」を使用していたが、その後は使い慣れた「SIM2」に戻していた。「Qi10フェアウェイウッド」はネックが接着式。松山が“カチャカチャ”ではないモデルを使うのは、実に4年ぶりだ。

「Qi10フェアウェイウッド」のヘッド性能を「やさしくて球が簡単に上がってくれる」と当初から気に入っていたものの、使い慣れたシャフト「ツアーAD DI」を装着したときに、オレンジ色からくるネック周りの光具合でクラブヘッドの見え方に少し違和感を持ち、使用には至っていなかったという。

松山からのリクエストを受け、グラファイトデザインが急遽ブラックカラーのプロトタイプ(塗装の違いだけで中身は全く同じ)を作製。今週の試合に間に合い、シャフトを付け替えて練習場で再びテストしたところ、一発目がナイスショットで即バッグインを決断したという。結果、今週はその新しいスプーンが大活躍。狭いホールが多いリビエラCCのティショットでも多用し、パー5の2打目など長い距離のショットでも新しい「Qi10」の安定感が光った。

アイアンとウェッジは昨年から継続。マッスルバックにしては少し大ぶりな「ZフォージドII アイアン」に替えてからは初優勝となった。「クリーブランド RTX4フォージド」のウェッジ3本体制も健在。今シーズンはチップインの回数も多く、「Hole Outs」(グリーン外からホールに入れたショット)は8回とツアーの中でも最多だ。

パターは、今週から慣れ親しんだエースのスコッティキャメロンに戻していた。ことしに入ってから、フェース面上のトウとヒールにウエートが埋め込まれたようなキャメロンパターを使っていたが、最終的にソールに鉛がべったりと貼られたエースパターに戻して優勝をつかんだ。今週のストロークゲインド・パッティングは4.298で全体3位。グリーン上でのパフォーマンスも勝利に大きく貢献していた。

優勝直後の14本(提供:宮野敏一氏)

<松山英樹 最終日のクラブセッティング>
ドライバー:ダンロップ スリクソン ZX5 Mk II LS(9.5度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD DI(重さ80g台、硬さTX)

フェアウェイウッド:テーラーメイド Qi10 (3番15度)、コブラ キング RADSPEED ツアー(5番17.5度を19度合わせ)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD DI(3番=9TX/ブラックカラー、5番=10TX)

アイアン:ダンロップ スリクソン Z-フォージド II(4番~PW)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー(S400)

ウェッジ:クリーブランド RTX4 フォージド(52、56、60度)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー(52度、56度=S400/60度=X100

パター:スコッティキャメロン プロトタイプ

ボール:ダンロップ スリクソン Z-STAR XV

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン