世界3階級制覇目指す中谷潤人は「井上尚弥と対照的な選手」 迫る2・24世界タイトル戦、識者が指摘する相違点

プロボクシングのWBC世界バンタム級1位・中谷潤人(M・T、26)が2024年2月24日に東京・両国国技館で同級王者アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ、28)に挑戦する。フライ級、スーパーフライ級に続く世界3階級制覇を目指す無敗の中谷。「モンスター」井上尚弥(大橋、30)に次ぐ日本のエースになれるのか。J-CASTニュースは、多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に話を聞いた。

「中谷選手は井上選手と全くタイプが違う」

中谷はプロ26戦全勝(19KO)を誇るサウスポーの強打者だ。身長173センチとバンタム級では長身の部類に入る。20年にWBO世界フライ級王座を獲得し2度の防衛を果たし23年5月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得。同年9月に初防衛に成功すると王座を返上し1階級上げバンタム級に転向した。

対する王者サンティアゴは28歳ながら36試合をこなしてきたツワモノだ。23年7月に行われたWBC世界バンタム級王座決定戦で世界5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン、41)を判定で破り世界王座を獲得。中谷戦が初防衛戦となる。戦績は28勝(14KO)3敗5分け。

金平会長は中谷の実力を高く評価しており「中谷選手は非常にポテンシャルが高い選手。第2の井上尚弥と言っても過言ではないポテンシャルを持っている。これから磨いて実績を積めばパウンド・フォー・パウンドの中に入ってくる選手だと思っていますし、サンティアゴ選手との世界戦で負けることはないと思います」との見解を示し、次のように両者を比較した。

「中谷選手は井上選手と全くタイプが違う。ある意味、井上選手とは対照的な選手だと思います。井上選手は相手がどのようなタイプであろうとなぎ倒すスタイル。ディフェンスも上手いハードパンチャーです。中谷選手は全体的にレベルが高いが、井上選手みたいになぎ倒すというタイプではない。中谷選手はテクニックで倒すような感じ。井上選手にテクニックがないというわけではなく、中谷選手は自分から打ちにいくこともできるがカウンターの上手い選手。井上選手は1発1発の剛打で沈める。剛の井上選手と柔の中谷選手。ボクシングのベクトルが好対照にある」

「井上選手の何がすごいかと言えば...」

井上はライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級の4階級を制覇し、バンタム級とスーパーバンタム級では4団体統一を果たした「モンスター」だ。戦績は26戦全勝(23KO)とほぼ完ぺきな数字を残している。中谷はかつて井上が保持していたWBOスーパーフライ級王座を獲得し、今回は22年12月まで保持していたWBCバンタム級王座に挑む。

金平会長は井上の強さを独自の視点で分析し、中谷の今後に言及した。

「井上選手の何がすごいかと言えばポカをしないこと。試合中に攻防を読み違えるポカをしない。何十戦もしているボクサーならば1度や2度、試合中にポカすることがあるが井上選手にはない。つまらないポカをしないというのが井上選手の強みです。それが無敗であるゆえんでもある。中谷選手は今後、ケガなどの管理同様に試合でポカをしないことが大切になる。今スターダムの軌道に乗っているので楽しみな選手です」

中谷が王者サンティアゴに勝利すれば日本男子7人目の世界3階級制覇となる。スポーツ紙の報道によると、中谷は世界3階級制覇を「通過点」と位置付けているという。

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