「交通費」と「通勤手当」は別もの!? 交通費の「非課税金額」を教えてください。

混同しやすい交通費と通勤手当の違い

交通費や通勤手当の非課税金額を見ていく前に、混同しやすい交通費と通勤費の違いを紹介します。それぞれ似ていますが、異なる用途と費用を表しているため、間違えて使わないよう注意しましょう。

交通費とは移動費用

交通費とは、営業活動や出張などの移動にかかる費用を指します。交通費は、社員が立て替えておいて、あとから経費精算を申請して、支払った費用の払い戻しを受ける方法が一般的です。交通費は、企業が事業活動を行うために必要な経費と判断されるため、全額非課税です。そのため、払い戻しを受けて給与に含まれた交通費に所得税はかかりません。

通勤手当とは通勤にかかる費用

通勤手当とは、従業員が自宅から勤務先に向かうまでにかかる交通費を支給する手当です。通勤手当は、一定額までは非課税ですが、上限を超えると課税されます。非課税範囲内の通勤手当は、給与所得の対象外です。

マイカーや自転車通勤の非課税額

マイカーや自転車で通勤をする場合、片道の通勤距離によって、それぞれ非課税限度額が設定されています。

通勤距離ごとの非課税限度額を、以下の表1にまとめました。

表1

※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」を基に筆者が作成

例えば、通勤距離が片道20kmの従業員に対して1万8000円の通勤手当を支給している場合、非課税限度額との差額である5100円が課税対象になります。
1万8000円-1万2900円=5100円

マイカー通勤にかかるガソリン代を節約する方法

通勤手当の金額は、企業によって計算方法が異なります。通勤手当は、企業が定めた該当金額を支給してもらう形になるため、従業員自らが課税対象となる金額の調整はできないでしょう。そのため、従業員が通勤にかかる費用を抑えたい場合は、ガソリン代の節約を意識することをおすすめします。

燃費のよい車を使う

ガソリン代で一番節約になる方法は、燃費のよい車を使用することです。現在では、手ごろな価格の低燃費車が、各メーカーから販売されています。低燃費を意識するならば、ガソリン車だけではなく、ハイブリッド車も視野に入れましょう。車の燃費の差で、毎月のガソリン代は大幅に変わります。

通勤経路を変える

朝の通勤ラッシュの時間帯に都心へマイカーで出勤する場合は、渋滞につかまる可能性が高いでしょう。現在の通勤経路で渋滞に巻き込まれているようならば、経路の見直しを検討しましょう。

渋滞によって発進と停止を何度も繰り返す運転は、ガソリンを多く消費してしまいます。勤務先の近くが渋滞スポットで、経路の見直しが難しい場合は、ラッシュに巻き込まれない早目の時間に家を出たり、フレックス制であれば通勤ラッシュ後の時間にずらしたりと、出勤のタイミングを調整することも一つの手段です。

エコドライブを意識する

心にゆとりをもってエコドライブを意識できれば、自然とガソリンの節約にもつながります。例えば、急発進や急停止をしないとか、急ブレーキを踏まない、アクセルを踏みすぎないなどの運転を心がけましょう。安全運転のためにも必要な心構えですので、日ごろから意識することをおすすめします。

交通費は全額非課税・通勤手当は上限額まで非課税

交通費は、営業活動や出張の移動にかかる費用で、通勤手当は、日々の通勤にかかる費用を指します。通勤手当と交通費は似ていますが、用途が異なりますので、違いをしっかり把握しましょう。また交通費は、全額非課税です。

通勤手当は、距離によって非課税となる上限金額が設定されています。自分の通勤距離と支給額をチェックして、課税される費用がある場合は、支給額の変更を従業員側で行うことは難しいため、日々のガソリン代を抑える工夫を始めましょう。課税額は変更できませんが、節約につながります。

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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