「新幹線」首都圏ならどの駅から乗る? 東京・品川・新横浜・上野・大宮、それぞれの違いを考える

首都圏から新幹線に乗る人には、複数の選択肢を与えられている。東海道新幹線なら、東京駅・品川駅・新横浜駅。東北・北陸・上越新幹線なら、東京駅・上野駅・大宮駅。どの駅から乗るか、は人や場合によりさまざまだ。

始発駅・東京駅から新幹線に乗る

東海道新幹線、東北・北陸・上越新幹線ともども、東京駅を起点とする。起点駅から乗る、ということには多大なメリットがある。ゆったりした気分で移動を始められる。

車内の清掃などが終わり、進行方向に座席が向けられ、ドアが開く。この際に乗車すると、気だるい雰囲気がまったくない。長い時間旅をしてきた列車とは雰囲気が異なり、フレッシュな印象を感じさせられる。

東海道新幹線

発車までの時間は、余裕を持って荷物を棚に載せたり、コートなどを脱いだりすることもできる。その場合、せかされている感じを受けない。

この「余裕」は、馬鹿にならない。東京圏のほかの新幹線駅では、決して味わえない。

もちろん、東京駅から乗る場合、実用的なメリットもある。たとえば車内での食事が選び放題に近いものがある。東京駅にはホーム上の駅弁売り場だけではなく、全国の駅弁を集めた「駅弁屋 祭」があり、さらには「グランスタ東京」「エキュート東京」といった駅ナカ商業施設にも、おいしいお弁当はたくさん並んでいる。土産物なども多く取り揃えられている。各地から集まった美味なるものが、東京駅に一極集中している状況がある。

交通網上でも便利だ。大都会のど真ん中まで行かなくてはならないものの、東京の中心にある駅なのでどこからでもまんべんなくアクセスしやすい。しかしその「まんべんなく」というところが、地域によっては別の駅のほうが便利、という状況を生み出す。そのあたりを考えてみよう。

品川駅や新横浜駅から、東海道新幹線に乗る意義は?

品川駅の新幹線乗り場

目黒区や大田区、品川区など、東京の南西地域に住んでいる人は、利便性を考えると東海道新幹線は品川駅のほうが使いやすい、というのは路線図を見ればわかることである。もちろん、横浜市や川崎市などの神奈川県内と、新横浜駅の関係についても同じことがいえる。

かつては東海道新幹線に品川駅はなく、新横浜駅も「こだま」しか停車しなかったことを考えると、これらの駅に東海道新幹線の全列車が停車し、さらには早朝時間帯に始発も運行するようになり、かなり便利になった。

そう、東海道新幹線の品川駅や新横浜駅は、「利便性第一」の駅である。東京駅まで行くには遠い人を集め、より東海道新幹線を便利に利用してもらうようにこれらの駅は整備された。

新横浜駅

2駅をさらに分けてみよう。東京都の人は品川駅、神奈川県の人は新横浜駅というすみ分けがあったものの、相鉄・東急新横浜線の開業で大きく変わった。東急電鉄の、神奈川県に近い東京都エリアは、新横浜駅のほうが便利になってきたのだ。東急東横線や目黒線沿線は、新横浜駅に引き寄せられていく。

駅構内の充実は、東京駅ほどではないものの品川駅も新横浜駅もそれなりにある。ただ、品川駅は駅構内でJR東日本の駅ナカ施設も使えるものの、新横浜駅はJR東海色が強い。

地下深い上野駅、多くの人を集められる大宮駅

北陸新幹線

では東北・北陸・上越新幹線方面はどうか。上野駅は駅構内の諸施設は充実している。しかし、交通網上でアクセスしやすいのは、常磐線方面か東京メトロの一部路線であり、多くの人を集めにくい位置になっている。また、新幹線のホームが地下4階にあり、そこまで移動するのに時間がかかるという問題を抱えている。

その意味では、サブターミナルとしての大宮駅は、利便性が高いと言える。大宮駅は各方面からのアクセスがよく、さらに湘南新宿ラインや埼京線で新宿方面からも人を集めることができる。この地の利のよさを生かすべく、JR東日本は駅ナカ諸施設を充実させるようにしている。

大宮駅

大宮駅から上野駅、そして東京駅へと新幹線の建設を進めてきたゆえにこうなったというのはわかる。その中で大宮駅の利便性は、かなり高いといえる。

東京圏の新幹線各駅は複数あり、利用者の状況によって選択できる。みなさまはどの駅を利用しているのだろうか。

(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

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