「きょうはゆっくり寝られそう」従業員43人の町工場が造った部品で宇宙へ!「H3ロケット」打ち上げ成功に静岡県内も歓喜

従業員43人の“町工場”が世界に技術力を示しました。JAXAが打ち上げに成功した国産新型H3ロケット2号機。メインエンジンには、静岡県内メーカーの製品が使われています。

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2月17日午前に打ち上げられた国産新型ロケットH3。従来のものよりも打ち上げ能力を高めながら、低コストを目指した次世代のロケットです。2023年3月の1号機打ち上げ失敗から11か月。県内にも固唾を呑んで見守る人たちがいました。

<エステック 鈴木誠一社長>
「本当にドキドキしています。成功するかどうか」

静岡県清水町の「エステック」。航空機や宇宙ロケットのエンジンなど精密な金属部品の加工が得意なメーカーです。従業員わずか43人の“町工場”ながら、その技術は国内屈指。「H3ロケット」の第1エンジンにエステックの製品が採用されました。

<エステック 鈴木誠一社長>
「第1エンジン『LE‐9』の吹き出し口の(部品の)大半をエステックでつくっています」
Qロケットエンジンに求められる精度は?
「これは数ミクロン(ミリの1,000分の1)=髪の毛の何百分の1というレベルじゃないですか」

ロケット部品に求められる1,000分の1ミリの精度。しかし、傷がないかなどのチェックは、実にアナログで最後に頼るのは技術者の目と手だそうです。

「エステック」は今回の2号機でも部品を製造。発注は前回よりもさらに高度な技術を求められたということですが、基準を無事、クリアしました。そしてー

「5、4、3、2、1…」
「お~すごい」

無事、打ちあがりましたが、まだ気は抜けません。前回、問題が生じた第2エンジンの燃焼に差し掛かります。

「第2エンジンの第1回燃焼開始も無事に確認できました!」

発射からおよそ6分後、第2エンジンの燃焼を確認。ようやく「エステック」の社員にも笑顔が戻りました。

その後、H3は目標の軌道に到達し、初の打ち上げ成功となりました。

<エステック 鈴木誠一社長>
「安心してます。きょうは、ゆっくり寝られそうです。H3ロケットだけではなく、いろんなロケットがあがっていくので、そちらもやっていければと思います」

ドラマ「下町ロケット」さながら、従業員43人の“町工場”の夢は尽きません。

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