労使協調で賃上げ実現なるか…鹿児島で政労使会議、労働者も経営者も必要性を確認

賃上げに向け意見交換した鹿児島政労使会議=19日、鹿児島市のホテル・レクストン鹿児島

 2024年春闘の本格化を前に、賃上げに向けて自治体や労使団体の代表が話し合う「鹿児島政労使会議」が19日、鹿児島市のホテルであった。県経営者協会や県商工会議所連合会などの経済団体や連合鹿児島の代表、塩田康一県知事や宮崎政久厚生労働副大臣ら23人が参加。賃上げの必要性を確認した。

 労働者側代表を努めた連合鹿児島の下町和三会長は、賃上げの必要性を訴えた上で「県内の労働者の多くが働く中小企業の経営は厳しい」と指摘。行政や金融機関の支援を求めるとともに「労働者も商品の高付加価値化に努める」と労使協調の姿勢を見せた。

 経営者団体も物価高や人手不足を踏まえ、賃上げに理解を示すとともに賃上げ原資確保のため価格転嫁の必要性を訴えた。県商工会連合会の森義久会長は労務費を含む価格転嫁ができずに苦戦する現状を説明し「経営が傾いては本末転倒」と主張。県中小企業団体中央会の小正芳史会長も「価格転嫁なくして構造的な賃上げは不可能」と強調し、自治体に実効性の高い施策を強く求めた。

 鹿児島労働局など行政機関は、賃上げ企業向けの税額控除や、労務費の上昇分に関する価格交渉の指針などの支援策を説明した。塩田知事は「商工団体などと連携を図り、企業の生産性向上をサポートする」と語った。

 24年春闘に向けた政労使会議は昨年11月と今年1月に開かれ、岸田文雄首相と連合の芳野友子会長、経団連の十倉雅和会長らが23年春闘を上回る賃上げを目指して取り組むことで一致した。厚生労働省は全国に波及させようと地方にも実施を求めていた。

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