『陰陽師0』の佐藤嗣麻子監督「みんな『呪』にかかっている」

作家・夢枕獏によるシリーズ累計発行部数は680万部超の大ベストセラーシリーズ『陰陽師』。その主人公・安倍晴明の知られる学生時代を描いた映画『陰陽師0』のキックオフイベントが2月19日、ロケ地となった世界遺産「仁和寺」(京都市右京区)でおこなわれ、出演する山﨑賢人、染谷将太、奈緒とともに、佐藤嗣麻子監督が登壇した。

映画『陰陽師0』のメガホンをとった佐藤嗣麻子監督(2月19日・京都市内)

京都三大門のひとつとも数えられる「二王門」から深紅のカーペットを練り歩き、五芒星が記された特設ステージに登壇した4人。佐藤監督は、「天皇家に代々縁のあるお寺で、晴明が教えを請いに行った人物が実際にいたとされている場所だったので採用しました」と、この「仁和寺」をロケ地として選んだ理由について明かした。

本作は、天才的な才能をもちながらも、陰陽師にまったく興味がない若き安倍晴明(山﨑)と盟友・源博雅(染谷)の活躍を描きつつ、やがて平安京をも巻き込む陰謀と呪いが動き出すという壮大な呪術エンタテインメント作品。原作者である夢枕の全面協力のもとで実現した、完全オリジナルストーリーとなっている。

左から、奈緒、山﨑賢人、染谷将太、佐藤嗣麻子監督(2月19日・京都市内)

この日のイベントでは原作者のコメントが披露され、それを聞いた佐藤監督は「まずは獏さん、そして獏さんのファンを喜ばせたいという気持ちでした。原作から外れないように意識しました。作品を見て、獏さんが泣いてくださったので、すごくうれしかったです」と言葉を詰まらせる場面も。

また、なぜ今映画化したのかを聞かれた佐藤監督は、「作品のなかで暗示や思い込みを『呪(しゅ)』と呼んでいるのですが、昨今のインターネットも事実がなにかというのは関係なく、検証することなく論争する世のなかになっていて、みんな『呪』にかかっているなと気づきました。それを祓(はら)えるのは、昔からのヒーローである安倍晴明しかいないと思ったんです」と、現代と呪いの関係性とともにその必然性を語った。

映画『陰陽師0』(配給:ワーナー・ブラザース映画)は4月19日公開。キャストには、山﨑、染谷、奈緒のほか、安藤政信、村上虹郎、板垣李光人、國村隼、北村一輝、小林薫といった豪華俳優が名を連ねる。

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