春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

14日、中越国境の東興通関地で出入国手続きをする人たち。(南寧=新華社配信)

 【新華社南寧2月19日】中国と国境を接するベトナム・ランソン省に住むブ・ティ・センさん(20)と友人3人は、中国側の広西チワン族自治区崇左市にある通関地、友誼関から5日に入国し、中国の春節(旧正月)を楽しんだ。

 ブさんは入国時の取材に対し、時間があれば家族や友達と中国に来ていると説明。今回はちょうど春節に当たるので、中国の年越しを体験したいと語った。

 中国では今年、2月10日から8日間が春節休暇となり、連休を利用して国内外に旅行する人も多かった。広西チワン族自治区のベトナム国境にある通関地でも旅行者の行き来が顕著に増加した。

 友誼関出入境辺防検査站(出入国検査所)の熊楚周(ゆう・そしゅう)辺防検査処長は「春節連休は友誼関も出入国のピークを迎えた。関係部門は出入国者の数を絶えずモニターし、円滑な通関の確保に努めた」と述べた。

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

14日、中越国境の東興通関地で出入国手続きをする人たち。(南寧=新華社配信)

 広東省江門市に住む陳雲徳(ちん・うんとく)さんは、家族8人と13日に友誼関に到着した。自治区内の南寧や憑祥(ひょうしょう)を周遊した後のベトナム旅行で「ランソン(国境を挟んだベトナム側の都市)に行く。ここは千年の歴史を持つ友誼関があり、ベトナムへも出国できる、とても便利だ」と語った。

 友誼関出入境辺防検査站のデータによると、春節8連休に友誼関から出入国した人の数は延べ3万3千人。中国からの出国者は約2万人で、うち中国人は1万5千人を占めた。

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

5日、崇左市大新県の徳天瀑布。(南寧=新華社配信)

 崇左市大新県内にある徳天瀑布は、国境を挟んでベトナムのバンゾック滝とつながっている。国境をまたぐ滝としてはアジアで最大、世界で4番目の規模を持つ。2023年9月15日には中国初の越境観光協力区となる「中越徳天(バンゾック)瀑布越境観光協力区」が1年間の試験運用を開始。両国の越境観光に新たな活力を注入した。

 徳天瀑布を中心に観光開発を手がける中旅広西徳天瀑布旅遊開発の楊宗軍(よう・そうぐん)総経理助理は「協力区には試験運用開始後、多くのベトナム人観光客が訪れている。アンケート結果を見ても彼らの評価は高い」と説明。春節連休中の観光客は1日当たり1万人を超えたという。

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

5日、崇左市大新県の徳天瀑布。(南寧=新華社配信)

 同自治区沿海部でベトナムと国境を接する東興市。川を隔てて接するベトナム側の都市モンカイとの間に設けられた東興通関地は中国からベトナムや東南アジア諸国連合(ASEAN)へ向かう最も便利な陸上ルートの一つとなっている。東興出入境辺防検査站の統計によると、春節連休の出入国者数は11万人余りで、うち中国に入国した団体旅行客は計380団体、6100人となった。

 同検査站の李敏(り・びん)副站長は「春節に伴い国境旅行や越境旅行の人気が高まり、出入国者も持続的に増加した。連休中の出入国者は最多で1日2万5千人近くに上った」と語った。

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

中越国境の東興通関地で、少数民族ジン族の伝統楽器「独弦琴」を体験する観光客。(1月20日撮影、南寧=新華社配信)

 中国の最縁部かつ海に面した国境都市である東興市は、海浜の景観と国境の風情を備えるだけでなく、少数民族情緒にあふれる観光スポットを持つ。春節連休には海と山、国境という独特な観光資源、絶え間なく充実が図られる観光関連施設が国内外からより多くの観光客を向かい入れた。

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東興市のジン族博物館で、民族音楽を観賞する人たち。(1月21日撮影、南寧=新華社配信)

 23年12月には防城港市から東興市の鉄道も開通。ベトナム国境の都市に通じた最初の高速鉄道であり、中越間の経済・貿易や人的・文化交流などが一層緊密になると見込まれる。(記者/黄耀滕)

春節連休、ベトナムとの越境観光が過熱 中国広西チワン族自治区

中越国境・東興通関地の橋を渡る人たち。(1月11日撮影、南寧=新華社配信)

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