「政治的な理由なんかじゃない」メッシが“欠場騒動”に絡んだデマ報道を否定! 真相を説明するも「なぜ謝罪しない?」「許しは得られない」と中国反発

エスカレートするばかりのバッシングに対して、リオネル・メッシ本人があらためて重い口を開いた。

事の発端は、現地2月4日に香港で行なわれたプレシーズンマッチだった。現在インテル・マイアミに所属するスーパースターはアジアツアーに参加。チームは6試合を消化したが、メッシは怪我を理由に香港選抜とのゲームを欠場した。チケットが高額だったこともあって香港および中国のファンがこれに激怒し、さらにメッシの非礼な態度などが槍玉に挙がる。しかも3日後、日本で開催されたヴィッセル神戸戦で30分間プレーした事実が火に油を注いでしまった。

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メッシを敵視するムードは一気に拡散する。9日には中国サッカー協会が3月に中国で開催予定だったアルゼンチン代表遠征の中止を決定。杭州でのナイジェリア戦と北京でのコートジボワール戦が突如一方的にキャンセルとなり、過去数年に渡って提携関係を築いていたアルゼンチン・サッカー連盟を唖然とさせた。さらには国営放送の『中国中央電視台』がサッカー専門番組からメッシの映像すべてを削除。メッシが6月20日に開幕するコパ・アメリカ(アメリカ開催)に出場した場合、同局はアルゼンチン代表のゲームをいっさい放送しないことを決めたとも報じられた。メッシに関連した商品や広告などへのボイコット運動も起こる始末だ。

その後もメッシがSNSを更新するたびに中国語による否定的な書き込みが相次ぐなど、事態はなかなか収束しない。意を決したメッシは19日、中国版Xであるウェイボーの公式アカウントにおよそ2分半の釈明動画を投稿。「皆さん、こんにちは。香港での試合のあと、いろいろなものを読んだり聞いたりしました。本当のことを伝えるために、このビデオを届けたいと思います。どうか誤った情報を信じないでほしい」と呼びかけ、次のように説明した。

「ファンの皆さんもご存知のように、僕は常にすべての試合に出場したいし、ピッチに立ちたいと思っています。政治的な理由とか、その他たくさん理由で僕がプレーしたがっていないというニュースを聞きましたが、そんなことはいっさいありません。もしそうであれば僕が日本に行ったり、以前のように何度も中国を訪れることもなかったでしょう。キャリアの初めから、僕は中国ととても親密で特別な関係を築いてきました。本当に素晴らしい思い出ばかりです。バルセロナや代表チームの一員として何度もここでプレーしましたからね」

そして、欠場の理由はあくまでも怪我にあったと明言する。

「記者会見でも話しましたが、内転筋の炎症がプレーできなかった理由です。サウジアラビアでの親善試合の前に違和感を覚えていたのですが、試合に出て悪化させてしまった。それでも(香港選抜戦の)前日トレーニングでプレーし、観に来てくれたファンのためにベストを尽くそうとしたし、子どもたちとのふれあいサッカー教室にも参加しました。でも、怪我を悪化させる危険性があったので出場は諦めたのです。

数日後、怪我の状態が少し良くなったので、日本では少しプレーして、もうすぐ開幕するリーグ戦に向けて調子を取り戻したいと思っていました。記者会見で話した通りですが、虚偽のニュースを前にして、もう一度伝えることが大事だと感じています。僕は中国のファンの皆さんに特別な愛情を持っていますし、これからもそうあり続けるでしょう。また近いうちにお会いできることを願っています!」

正直な想いを吐露したメッシに対して、1時間で20万近い「いいね!」がつき、約2万件のコメントが寄せられた。賛否両論が渦巻くなか、スポーツポータルサイト『捜狐体育』は中国ファンによる冷ややかな反応を紹介している。「この期に及んでなぜ謝罪しないんだ?」「遅すぎるだろ。もう手遅れだよ」「ポケットに手を入れたままスタンドのファンに笑顔もみせなかった、あの態度が許せないんだ」といったものだ。

同メディアは「確かにメッシと中国の思い出はいつも華やかだった。北京五輪の金メダルがそうだし、昨年の代表ゲームでも彼は一級品のパフォーマンスで観衆を魅了した」と評しつつ、「だからこそもっと前向きな対応をファンは求めているのだ。今回のビデオ投稿によって、ある程度は怒れるファンたちの感情を和らげたかもしれないが、根本的な許しは得られないままだろう」と論じている。

ウェイボー限定で発信された、まさに異例とも言えるメッシのビデオメッセージ。ロイター通信やCNNなど欧米の主要メディアも驚きをもってこれを報じている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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