Aぇ! group、5年間の集大成を飾り異例の京セラドーム公演へ “名刺作”を再演した意味とは

2019年に上演された関西ジュニア・Aぇ! groupの舞台『僕らAぇ! groupって言いますねん』が、彼らの結成日である2月18日に配信で再演された。本稿では、今年から5人の新体制として幕を開けたAぇ! groupが今この作品を再演することにどのような意味があるか考察したい。

『僕らAぇ! groupって言いますねん』は関西の先輩であるSUPER EIGHTの横山裕が企画・演出を務めたもので、グループの楽曲のパフォーマンスやメンバー個人の特技などを芝居仕立てに織り交ぜたコンサートと舞台の良いとこ取りをしたような作品だ。2019年2月結成の彼らが、同年4月に東京、8月から9月に関西の4カ所を回り、結成から日が浅いにもかかわらず大勢の観客を魅了した。

当時の舞台の内容は彼らの自己紹介となるようなもの。パフォーマンスした楽曲は初めてのオリジナル曲でありAぇ! groupの代表曲とも言える「Firebird」に加え、小島健が作詞、佐野晶哉が作曲を手掛けた「神様のバカヤロー」と「ボクブルース」。ダンスとバンドの二刀流で魅せるスタイルをすでに確立しており、「ボクブルース」では末澤誠也がアコースティックギターを披露するなど多彩さもアピールした。また、楽曲パフォーマンス以外の部分では末澤のタップダンスや佐野の手品などそれぞれが持っている特技を器用に織り交ぜた、新しいエンターテインメントで観客を楽しませた。

結成から5年が経った今、そんな彼らの名刺のような作品を再演することにはどんな理由があるだろうか? 関東も含めジュニアにはたくさんのグループがひしめき合っている中で、関西ジュニアとしてともに切磋琢磨してきたなにわ男子がデビューを決めるなど、ここ数年はAぇ! groupの刺激となることが多くあっただろう。そんな刺激をエネルギーに変えメキメキと人気と実力を伸ばしてきた彼らは、一人ひとりの個性がさらに強まり多くの人に認知されてきている。草間リチャード敬太が『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)に出演してお茶の間にインパクトを残したり、大学で音楽を学んだ佐野が歌を披露する番組に個人で出演したり、グループの楽曲制作に携わったりと、それぞれのメンバーが特技や個性を存分に伸ばしてAぇ! groupの名前を広めている印象だ。

また、一人ひとりの演技力も成長した。2020年から放送されていた『THE GREATEST SHOW-NEN』(ABCテレビ)で多くの演出家、脚本家とともに作品を作り続けているほか、最近では末澤が『彼女と彼氏の明るい未来』(毎日放送)、小島が『帰ってきたらいっぱいして。』(読売テレビ)でドラマ初主演(どちらもW主演)を務め、一筋縄ではいかないラブストーリーを見事に演じていた。様々な演技経験を積んだ彼らの芝居は初演以上に見応えのあるものになったのではないだろうか。

個性と演技力の両方を大きく伸ばしたAぇ! groupが新体制となったこのタイミングで名刺代わりの作品を再演することは、彼らの5年間のひとつの区切りとして栞を挟むような意味を持つと同時に集大成を見せる役割もあったのではないか。

そして配信の最後には、単独では初となる京セラドーム大阪でのファンミーティング『Aぇ! group Aッ倒的ファン大感謝祭 in京セラドーム大阪~みんなホンマにありがとう~』の開催を発表した。3月16日、17日の二日間にわたって行われるこのコンサートはジュニアとしては異例のドームでの単独イベントということもあり、話題を呼んでいる。ファンを驚かせ続ける彼らが大きなステージで輝くパフォーマンスに期待したい。

(文=池田夏葉)

© 株式会社blueprint