平野美宇から大金星寸前のイラン選手が再脚光! 無念の逆転負け→ベンチで悔し涙を流す姿にWTT公式が異例の労い「素晴らしい試合をした」【世界卓球】

大金星目前で、スルリと勝利の女神から見放された瞬間が話題を呼んでいる。

韓国・釜山で熱戦が繰り広げられている卓球の世界選手権団体戦。現地2月19日には、女子の日本代表(世界ランク2位)がブラジル代表(同8位)と激突。早田ひな、平野美宇、張本美和のパリ五輪代表メンバーで必勝を期した日本が3-0のストレート勝ちを収め、1次リーグを4戦全勝。グループステージ首位通過が確定し、21日の決勝トーナメントに駒を進めた。

1次リーグ首位突破を懸けた全勝対決は日本に軍配。一方、破れたブラジルは20日に世界ランク35位のイラン代表と最終戦を戦う。

ブラジルの日系人姉妹ブルーナ&ジュリアのタカハシ姉妹に注目が集まっているが、今大会で世界から小さくない話題を集めている選手がイランにもいる。第2戦の日本戦で平野を敗北寸前まで追い詰めた世界ランク709位のアシュタリだ。

23歳のサウスポーは日本に第1試合を先取されたあと、2番手として登場。相手は世界ランク18位の格上ながら、精度の高いブロックやプッシュで平野を翻弄。なんと11-6、11-9と連続でゲームを奪い、あわやストレート勝ちの展開に。第3ゲームは6-11で平野に奪われたものの、第4ゲームはデュースに持ち込み、アシュタリが先にマッチポイントを握る。大金星にリーチをかけたが、パリ五輪代表の底力を発揮した平野に逆転を許し、このゲームを11-13で奪われゲームカウント2-2に追いつかれると、勝負の行方は最終ゲームに持ち越された。

運命の最終ゲームも終盤まで白熱した展開になった。アシュタリが再三マッチポイントを握るが、平野も負けじと追い付き、手に汗握る展開に。最後はアシュタリが返したボールが卓上に当たらず、万事休す。平野が辛くも13-11で競り勝ち、熱戦に終止符を打った。
格上の日本人からの大金星が手の届くところまでありながら、まさかの逆転負けを喫したアシュタリ。国際卓球連盟(WTT)は後日、今大会の序盤で生まれた大熱戦をピックアップ。公式X(旧ツイッター)に平野に敗れた直後、ベンチで顔を覆い悔し涙を流すアシュタリの一部始終を公開した。

文面には「最終ゲームで日本のミウ・ヒラノに3-2で敗れたアシュタリは、感情を爆発させた」と綴り、無念の表情を映す。だが映像には、格上相手に死闘を繰り広げた彼女に向けて労いの言葉を送り、大会序盤の激闘を称えている。

「アシュタリは最後のポイントを失ったが、素晴らしい試合をした。卓球は決して簡単ではない。だから私たちは卓球が大好きなのだ」

イランは現在、グループステージ1勝2敗の4位。日本が決勝トーナメント進出を確定したため、残りの切符は2枚。相手は2位のブラジルで、しかもライバルのルクセンブルクの相手は最下位の南アフリカと、イランにとってはかなり厳しい状況にある。はたして、イランは1次リーグを突破することができるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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