長野県/松本平広域公園陸上競技場起工式・安全祈願祭開く、建築は清水建設JV

長野県が信州まつもと空港に隣接する松本平広域公園(信州スカイパーク、松本市今井)内に建設する「松本平広域公園陸上競技場」の起工式が17日、現地で開かれた。阿部守一知事ら関係者が盛り土に初鍬を入れ、スタジアム建設の無事完成を祈願した。起工式に先だって安全祈願祭も開かれた。
起工式で阿部知事は「新しい陸上競技場は敷地をいっぱいに使い倒す活動の広場として『公園とまちに開かれた陸上競技場』『陸上競技のための陸上競技場』『1年を通じ、誰もが使える活動の拠点』の三つのコンセプトの下で設計を進めてきた。アスリートの皆さんからもさまざまな意見を寄せてもらった。協力に感謝したい」とあいさつ。
新陸上競技場は2028年に長野県で開かれる予定の「第82回国民スポーツ大会・第27回全国障害者スポーツ大会」でメイン会場となる。
設計を担当したAS・昭和設計JVの青木淳氏は「公園と一体化するよう地面を5メートルほど掘り下げ周辺と観客席が同じ高さになるようにした。また観客席をできるだけ(選手の)近くに持ってこられるかを考えた」とコンセプトを紹介。その上で「1897年に第1回近代オリンピックが開かれたギリシャのパナシナイコ・スタジアムを参考に設計した。建築と言うより巨大な土木のような大変な工事になる」と説明した。
規模はRC・S造地下1階地上2階建て延べ1万8476平方メートル。観客席は約1万5000席で、第1種公認陸上競技場仕様に沿った設備を備える。25年度中の完成を目指す。建築を清水建設・松本土建JV、電気設備をアイネット、衛生設備をルピナ中部工業、空調設備工事を大和ホーム工業が担当する。
施工者主催の安全祈願祭では、神職の祝詞奏上に続き青木AS代表取締役、梶山卓二昭和設計社長、品川雅俊AS取締役の3人が鎌、新田恭士長野県建設部長が鍬、清水建設・松本土建JVの森井満男清水建設常務執行役員、松原泰博松本土建副社長の2人が鋤を盛り土に入れ、無事故無災害での工事完了を祈願した。
□建築工事を担当する坂田好史工事長(清水建設)の話□
「空港に近接して大型クレーンを使うのでレーザーバリアを設置しブームの先が転移表面を越えないよう気を付けたい。職人不足といわれているのでできるだけ工業化して手間を省けるような施工方法を選定している。立体的な構造の建物なので墜落転落防止対策はしっかりやっていきたい」。

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