前田建設ら/360度カメラ撮影動画とBIM融合、PC上で計測・検査可能に

前田建設ら3社は360度全方向の映像を撮影できるカメラを活用し、工事写真の撮影を大幅に効率化する技術を開発した。現場で撮った映像とBIMを重ね合わせ、データ上で対象物の距離を測りつつ静止画を切り出せる。現場試験では写真を使う従来方法に比べ、撮影時間を80%短縮。配筋検査では鉄筋の本数や位置、かぶり厚さも確認できる。時間外労働上限規制が適用される4月を目標に全国の自社現場に展開する。
新技術はアクセンチュア(東京都港区、江川昌史社長)とピクシーダストテクノロジーズ(同中央区、落合陽一、村上泰一郎代表取締役)との共同開発。
現場で使う際は基準となる墨出しなどに沿ってマークを置き、BIMにも同じ位置を設定することで360度動画と3Dモデルの座標をそろえる。動画にしたことで各部材の全体像を連続して記録可能。映像内には仮想スケールを配置でき、画面上で任意の位置を目視検査できる。撮影機材は将来の普及を見据えて民生品を基本としており、ソフトウエアの外販も視野に入れる。
現在の工事記録では多数の写真を撮影し、事務所で選ぶ作業が大きな負荷となっているが、記録写真は現場で撮った静止画でなければならないとされる。普及には360度動画から静止画を切り出す撮影方法が認められる必要がある。
前田建設は撮影方法の解釈が見直されれば、施工管理業務全体の負担軽減にもつながるとして、「今後は公的制度で採用可能な技術として、第三者の工事監理などでも信ぴょう性があるデータとして扱われると期待している」としている。

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