水に沈みがち&屋上でくつろぎがち!? 『Eye Love You』にちりばめられた“韓ドラあるある”

韓国ドラマ『無人島のディーバ』で、パク・ウンビンの相手役を好演し注目を浴びたチェ・ジョンヒョプ。1月23日からスタートしたTBS系火曜ドラマ『Eye Love You』で日本初進出を果たし、ヒロインを演じる二階堂ふみとの共演で話題となっている。

環境問題に配慮したチョコレートショップ「Dolce & Chocolat.」の社長で仕事熱心な本宮侑里(二階堂ふみ)に出会い、ストレートに愛情を表現する韓国人留学生、ユン・テオ(チェ・ジョンヒョプ)の人懐っこい笑顔にキュンとしている人も多いだろう。

本作は日本のドラマだが、韓国ドラマ好きが喜びそうなおなじみのシーンがたくさん盛り込まれている。本稿では、『Eye Love You』に詰め込まれた“韓ドラあるある”を紹介しよう。

■ヒロインは人の心の声が聞けるテレパス

侑里は相手の目を見ている間だけ、その人の心の声が聞こえるテレパスだ。ヒロインがちょっと訳ありの特殊能力を持っているのは、まさに“韓ドラあるある”だろう。

2023年にNetflixで配信された『ヒップタッチの女王』では、ヒロインが人間や動物のお尻を触ることで相手の心を読むことができたほか、『力の強い女 カン・ナムスン』では、タイトル通り超人的な怪力を持つヒロイン、カン・ナムスンの活躍が描かれた。

侑里の父親・本宮誠(立川志らく)は、事故にあった侑里を助けたことで全身が麻痺してしまい動けない体になってしまった。その時から侑里はテレパスの能力を授かり、話ができない父親と心の中で会話ができるようになったのだ。

人の心の声が聞ける能力は、侑里が会社を経営していく上で大いに役立っているが、にこやかにしている人が心の中で全く違うことを考えていることが分かってしまうことが、侑里にとって大きなストレスになっていた。そして、それが原因で恋愛することを遠ざけているところがある。そんな中テオと出会い、韓国語が分からない侑里は、テオの心の中の声が分からないので、心地よくホッとした気持ちになっていく。

第4話の最後では、テオが幼い頃に仲良くしていたヌナ(お姉さん)から読んでもらった絵本の物語が紹介され、その主人公が侑里と同じように人の心の声が聞ける人物だと分かった。しかもその絵本の主人公は、侑里が人の心の声を聞く瞬間に左手を耳に当てる動作と同じ動作をとっていた。テオは絵本のことを思い出すが、ヒロインの相手役の過去に、ヒロインの現在と何らかの関係があることを匂わせるのも“韓ドラあるある”だ。

■水中と屋上のシーンは、韓ドラの定番!

第1話の前半では、侑里が海に沈んでいく様子が映し出された。これが12年前に起きた事故なのだが、登場人物が水の中に沈んでいくのは韓国ドラマでよく見かけるおなじみのシーン。チェ・ジョンヒョプが出演していた『無人島のディーバ』でも同様の演出がなされていた。

今のところなぜ事故が起こったのか詳細は分からない。しかしその現場にテオの研究室の教授・飯山(杉本哲太)が居合わせていたことが分かっており、彼が侑里の父親を見舞う姿もあった。テオが心を寄せているのが侑里ではないかと飯山がやきもきしているところをみると、何か良からぬ縁があるのを想像させる。登場人物が水の中に沈んでいくシーンは、あまり良いイメージがないが、今後、侑里がなぜ水中に沈んでいったのか、物語の重要なポイントとなるのだろう。

また、韓国ドラマでは、屋上で何かをするシーンがよく描かれる。韓国では「屋根部屋」といわれる屋上の家が格安の家賃で住めるため若者に人気で、ドラマで主人公が夜景を眺めながら酒を飲んでいるシーンを観たことがある人も多いだろう。

テオは日本にいるので住んでいるのは屋根部屋ではないが、屋上のシーンがよく登場する。テオが環境に配慮したせっけんで作ったシャボン玉を飛ばしていたり、第1話の最後には、侑里とテオが屋上を掃除しながら、お互いの距離を縮めていく様子が描かれた。本作では、韓国の若者の生活が垣間見れるお約束シーンがふんだんに盛り込まれている。

■テオが肉体美を披露!

第2話では、テオが住んでいる家をスプリンクラーの誤作動で水浸しにしてしまったため、やむを得ず侑里がテオを自宅に泊めるシーンが描かれた。男性を家に泊めるのはどうかと悩む侑里だが、インターンとして侑里の会社に来ることになったテオを助けるのは「社長として当然」と自分に言い聞かせる。

その夜、侑里はテオに迫られる夢を見る。その際にテオの上半身裸の姿が映し出されるが、韓国俳優の鍛え上げたナイスバディが披露されるのは、まさに“韓ドラあるある”だ。

夢の中のテオは、いつもの無邪気な笑顔を見せるテオとは正反対で大人の色気を漂わせていた。侑里はそんなテオの魅力に引き寄せられるが、目が覚めて夢だと分かり、激しく動揺する。テオを演じるジョンヒョプ推しの人にとって、普段のテオと夢の中のテオの違いを存分に楽しめる必見のシーンとなった。

■ストレートな愛情表現で、韓国の恋愛事情を踏襲

テオは侑里にどんどん惹かれていくのだが、侑里への想いをこちらが恥ずかしくなるくらい包み隠さずストレートに表現する。これは韓国人男性が「アジアのイタリア人」とも呼ばれる所以で、韓国ドラマでは好きな女性に積極的にアピールしていく姿が頻繁に描かれる。

本作でもテオは侑里に対して15分ごとにスマホにメッセージや自分の写真を送る。「これはすごいわ……」とつぶやく侑里が面白い。

一方テオは、送ったメッセージが既読になってもすぐに侑里が返信してこないことで、激しく落ち込む。大学院の先輩の小野田(清水尋也)に相談すると「それはちょっとウザいね」と指摘され落ち込むものの、日本人のやり方に頑張ってシフトしていこうとするテオを「よしよし」と褒めたくなる。

このように、本作は韓国ドラマ好きが「これこれ!」と喜びそうなポイントが盛りだくさんだ。他にも大学院でラッコを研究しているテオがラッコのグッズをたくさん集め、それらのグッズが頻繁に登場したり、侑里の同僚でショコラティエの真尋(山下美月)を小野田がテオの想い人だと勘違いして混乱を生じさせたりするのも、韓国ドラマでよく見かけるシーンだ。

侑里のビジネスパートナーの花岡(中川大志)や小野田といったサブキャラの魅力が際立っているのも大きな魅力となっている『Eye Love You』。密かに侑里を想っている花岡とテオとの三角関係や、12年前の事故と飯山教授の関係も気になるところだ。日本のドラマと韓国ドラマの魅力が詰まった本作を最後まで楽しみたい。

(文=咲田真菜)

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